双子、今日もお騒がせします。【hgs】

19.“好き” ページ19

ASide






問「なんの部活入るか決まった？」


「うーん...」






静かな放送室に2人の声だけが響く。


放送の前と後、ここでおしゃべりするのが私と問の水曜日の日課になっていた。








「いろんな部活の体験行ったけど...まだ決まってない」



問「そっか〜」




問「バスケ部と兼部してるクイ研の先輩が言ってたんだけど、

Aちゃんめっちゃバスケ上手いらしいじゃん」



「まぁね〜、私運動神経いいから」



問「自分で言う？笑」



「ははは」






だってほんとに運動神経いいんだもん。

50m走だけは、唯に負けたことないし。






問「バスケ入らないの？」


「うーん、入らないかな、多分」







バスケしてるよりかは、


こうやって、問と放送室でおしゃべりしてる方がずっと楽しかった。






問「そっか」





問「“好き”、”楽しい“、見つかった？」




ニコニコしている問と目が合う。




「ん〜...」








問「ね、Aちゃん」





問「“好き”って10回言って」


「えぇ、！？な、に急に」


問「いいからいいから」






「...好き、好き好き好き好き....」



問「....」





じっと私の目を見る問。



....ちょっと、そんな目で見るのやめて欲しい。


今、目があったらなんか変な気持ちになる。





「...好き、好き好き、好き好き！」



問「最も近い惑星は？」





「月？」




問「ぶぶー！正解は金星！」






嬉しそうにしてる問とずっこける私。



もーーー！単なる10回クイズかよ！


ドキドキして損した！






「くそーー！ピザって10回言って！」


問「ひじ！」


「知ってんのかよ！」






「えーっと、じゃあ、シャンデリアって10回言って！」



問「白雪姫！」


「なんで知ってんのーー！」





悔しそうにしてる私を見てゲラゲラ笑ってる問。

なんか、つられて私まで笑えてきた。






問「ははは、あー笑った」


「ふ、ははは...」






その時、問と目が合う。





問「Aちゃん、楽しそう」


「...うん。楽しい」




“楽しい”って


“好き”ってこういうことだと思った。






「問」


問「ん？」


「私、クイ研入る」









問「うん」






窓から風が吹き込んでくる。



昼の放送の時間が、近づいていた。







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