絶対君だよ

93.変わってく ページ46

ASide










『Aーーー！！！！』








うるさい....






『A、起きなさーーい！！』







起きてるってば....







『もう8時よー！？』






「うそーー！！！！」









布団を蹴散らしながらベッドから起きる。



時計の針は8時10分を指していた。



いつもならもう家を出てる。








「えっと、朝練....はないんだった！！！」



「もおーーー、なんでもっと早く起こしてくれなかったの！！」



『起こしたわよ！』











半泣きになりながら制服に着替える。








今日は、終業式だ。








『朝ごはんは？』



「いらない！」



『えー！？』







「いってきまーす！！」









鏡を見る暇もないまま、私は家を飛び出した。





駆け足で学校へ向かっていると







「...あ」







大谷くんの



後ろ姿を見つけた







前までの私ならきっと




今日髪型が上手く決まってない、とか



ちょっとむくんでるとか




そんなの気にして話しかけるの迷ってたかも




でも、もう今はなにも気にならなかった




大谷くんに、可愛いって思われたいとか




そんな気持ちはあの日にもう捨てたから









「おはよー」





声をかけると、大谷くんは肩をびくっと震わせた。






「...？」





初めての反応に、頭の上にはてなが浮かぶ。



大谷くんはチラッと私を見た後






大谷「おは、よう」






そう言うと、スッと目を逸らして、


早足で行ってしまった。






「....？」







あれ、これ一緒に登校する流れじゃないんだ。


前まではそうだったんだけど。









「(そっかぁ...)」







ま、いっか。




なんて




あまり、傷ついていない自分に



驚いたような、嬉しいような



そんな気持ちになった。








「(....音楽きこ....)」







少し前を歩く大谷くんを見つめながら



私は、イヤホンをつけて



再生ボタンを押して



大谷くんとは違う道を通って学校に向かうことにした。










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