絶対君だよ

92.恋 ページ45

藤浪Side








振り返ると、そこには






「やっぱり、藤浪くんだ」





Aが、いた。







陽は沈み切って



あたりは暗かったけど




それでも




俺の顔を見た途端、ぱっと顔を明るくさせるのが分かった。







「今日時間遅いから、いないかと思った」







そう言って、駆け足で俺の元へ来る姿が


本当に


本当に愛しくて







藤浪「なに、俺と一緒に帰りたかった？」





「はあ、！？なんでそうなるの！！」







さっきまでの嫌な気持ちなんか、全部消えてた







藤浪「....」





ふわっといい香りが漂ってくる。




俺は、チラッとAの手を見た。







藤浪「...使ってくれてるんや」




「？あ、ハンドクリーム？」




藤浪「うん」




「もう、ヘビーユーザーだよ。だって超いい匂いなんだもん」





そう言ってAは手をくんくん嗅いでいた。




ふんふん鼻を鳴らしながら嗅いでいるのが



なんだか犬みたいで面白かった。







「なに笑ってるの？」



藤浪「別にー」



「ええー？」






あー、やっぱり俺






藤浪「(....好きだな)」







...Aのこと。











-










大谷Side








部室の鍵を閉めて、校舎を出る。








あたりが暗くなっているのに焦って早歩きで帰っている時







大谷「....！」






思わず




足が止まった。









少し前で







藤浪と、Aさんが並んで歩いているのが見えた







大谷「.....、」










胸が






ザワザワした









笑い声が、こちらまで聞こえてきて










大谷「...なんだ、これ....」









こんな、想い




白雪には、感じたことはなかった








Aさんの隣に




俺以外がいるのが嫌だ







Aさんが




俺以外に笑いかけてるのが嫌だ








大谷「(....独占したい....)」









Aさんの隣





Aさんの笑顔





Aさんの、全部全部









白雪に抱いていた感情と、こんなにも違うなんて








大谷「....」











そうか











俺は














大谷「(Aさんが...)」













好き、なんだ....











-





奇しくもAちゃんと大谷くんは同じシチュエーションで自分の気持ちを自覚しました。

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