絶対君だよ

78.過保護 ページ31

桜Side





試合終わり




1階体育館で




力を使い果たして倒れてるAと、それに寄り添ってる翔平。








2階観客席で



それを見つめる私と



そしてどう考えても私の顔色を窺っているクラスメイトたち。






桜「優勝だねっ」






笑顔で振り向くと、みんなほっとしたような顔をしていた。






『よかったねー！！』




『ほんとすごい』





桜「うんうん」











桜「....」







....おめでとう、A、ちはる。





あーだめだ、私どんどん性格が悪くなっていってる。





このままじゃだめだって、今まで何回思ってきただろうか。







光里「ほんっと白熱した試合だったねーーっ！！次は男子サッカーかぁ〜」







なんて隣で呑気に言ってる光里。


光里の鈍感さに、今は救われている自分がいた。







桜「そうだね、応援頑張ろうね」


光里「もち！！」








.








ASide







「もー、一人でも大丈夫なのに」


大谷「だめ」







試合が終わってから、大谷くんは私のそばを離れようとしなかった。



昨日よりだいぶ悪化した小指に、ずっと氷嚢をあててくれている。







「大袈裟」


大谷「うっせー」







こんなとこ見られたら絶対桜に勘違いされるのに。







「(....私は大丈夫って言ったんだからね、大谷くんが無理やりそばにいるだけなんだから...)」








そうやって、この状況を一生懸命正当化する。


ほんとは、



不謹慎だけど




怪我しててよかった、ラッキー




....だなんて。






それくらい、





もっとそばにいて欲しい。




なんちゃって。





そんな時








『大谷ーそろそろグラウンド行くぞ』






そう言って、クラスの男子がやってきて。





時計を見ると、サッカーの試合は40分後に迫っていた。








大谷「わかった、」





そう言って複雑そうな顔をする大谷くん。



そこに






ちはる「Aのことは私に任せて、さっさとグラウンド行ってきな」






後ろからちはるが現れた。


ちはるの手には新しい氷嚢が握られていた。






大谷「....ありがとう。任せた」





大谷「もう、無茶しないでね」


「う、ん...」







大谷くんは、私の目を見てそう言った後


小走りでクラスの男子たちの群れの中に消えていった。







.

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