絶対君だよ

63.冗談 ページ16

ASide








藤浪「一番もらいたい子からは貰えてない」



「？そうなの？」







藤浪くんが持っている紙袋の中には大量のチョコレート。


それでも、貰いたい子からは貰えてないなんて。








「それって誰？」








興味本位でそう聞く。






少しの沈黙の後








藤浪くんは




スッと私を指差した







え、





嘘でしょ











藤浪「お前」








「...え」







一瞬




耳を疑った







二人の間に沈黙が流れる。






何か言わないと、




でも



なんて言ったらいいの








藤浪「....なんてな！」








沈黙を破ったのは




藤浪くんの明るい一言だった。








「...は！？」


藤浪「冗談冗談」






藤浪くんは頭の後ろで手を組んで、鼻歌を歌いながら少し早歩きをする。





だから、どんな表情をしているのかわからなかった。








「もう！からかわないでよ！」


藤浪「ごめんごめん」





いつも通りへらへらしながら藤浪くんが返事をする。




それからも



ドキドキした心臓はなかなかおさまらなかった。










.









-








それからも他愛無い話をして





いつもの分かれ道まできた。








藤浪「じゃ、また明日な〜」






そう言って私の顔を見ずに去ろうとする藤浪くんの腕をぐいっと引っ張る。





藤浪「うわっ、！？」








ぐらっと体勢をくずす藤浪くんの手のひらに、無理やりバレンタインのチョコを置いた。








「...あげる」




藤浪「....え！？」




「あ、余ったから！！」






そう、余ったから。





別に、さっきの発言を間に受けたからじゃない、決して。





「.....」






恥ずかしくて藤浪くんの顔を見ることができなかった。







.

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