女はいつだって本気で恋をするものなのです。 (ページ7)

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6話ページ7

｢うーん…。やっと終わったぁ～。｣

あれから邪念を捨てて仕事を続けて
3時間。気づけば時刻は21時を大幅に回っていた。

もうオフィス内にいるのは私しかいない。

20分前くらいに最後に残っていた
櫻井さんも。

｢じゃあ僕ももう帰るから。あんまり遅くまで残るのも危ないから、そろそろ切り上げなね。｣

そう言ってキラッキラな笑顔で
帰っていった。

…うん。自分の力以上に
頑張っちゃうよね。そんな事言われたら。

とりあえず心配もしてもらったし、
フロアの戸締りして帰らないと。

つけっぱなしになったままの
パソコンがないかとか、窓の鍵がしまってるか
確認したりして鍵を閉める。

警備員室に鍵を返しに行って
会社の外まで出た時に気がついた。

｢…スマホ忘れた…。｣

カバンに入れたと思ってたのに。
見ても影も形もない。

1回出たのにまた警備員室行かなきゃ。

流石にスマホ忘れたまま明日まで
待機なんかできないし。仕方ない。

警備員さんに謝ってもう一度
フロアの鍵を借りて戻る。

案の定机の上にスマホが転がっていた。

よくこんな堂々と忘れられたな。

もう一度戸締りして、さっさと戻ろうとした。

…この時。

違うフロアの方から明かりが漏れてるからって。

足を止めてそっちに向かったりしなければ。

こんな切ない想いをしなくても。
良かったのかもしれないのに。