10 ページ10
ドッキリな割には話が凝ってて、頭が混乱する。
《そう、っすか》
『その時置かれてる自分の立場とか、周りの状況確認とかを踏まえて
自分の気持ちを優先させた方がいいと思うけどね』
《確かに‥、》
ドッキリならここで、ネタバラシするはず。
それなのにしてこないのは、本当に悩んで話してくれたのかもしれない。
それなら俺は真剣に向き合わなければいけない。
『でも、俺はその子に迷惑をかけたくないって思うから、配信は徐々に減らしていくかな』
《え?》
『配信と、リアルって全くの別物だけど、配信をする為に仕事をしてお金稼いでるところあるじゃない?
良いマイクや、最新のパソコン、ゲーム買ったり、ライブやイベントの開催費に、CDの制作費とか。
大変だけど、楽しいから、好きだからっていう理由が圧倒的に強くて、頑張れてるところあるんだよね、俺は。
だけど、その中で大切な人が出来たなら、
きっと俺は、その人の為に時間もお金も使いたいって思うと思う。最初は両立出来ていても、苦しくなる時が来るから』
《‥苦しくなる時、》
『今俺を好きで居てくれているリスナーは、俺にとってとても大切で、かけがえのない、なくてはならない存在で、リスナーがいるからこそ嫌な事があっても頑張れてる部分がある。
だけど、ずっと味方でいてくれたリスナーが、次の日には敵になって、間違った情報を鵜呑みにして、アンチに変わる事を経験してるし、周りでそういう配信者いっぱい見てきてる。さとみくんもあるよね。
俺だけが犠牲になるのなら耐えられるけど、その方向がもし大切な人にいったなら、絶対に許せない。
だから、俺は、そうならないようにゆっくりと時間をかけて配信から遠のくんじゃないかな』
.
さとみくんは、仮定の話だと言っていたけれど、そうじゃないことくらい分かる。
でもその相手がAだったなんて。
Aの部屋の前まで行ってインターホンを押す。
‥
出てくる気配どころか、家にいる気配がない。
時刻は22:58。
明日の仕事は休み、0:00まで待って帰ってこなかったら諦めよう。
そう思って玄関に身体を預け、夜空を眺めていると
「〜〜〜」
「〜〜〜」
近くで誰かの声がして下を覗くと、見える2人の姿。
会話の内容まで聞き取ることは出来ないけれど、俺が見たことのない表情をするさとみくんを、黙って傍観することしかできない。
55人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ココア - 最初から最後まで見させていただきました!素敵な作品でした!読んでいる途中で涙が出てきました(´;ω;`)私が好きなすとぷりの方々でさらに(´;ω;`)これからも素敵な作品を作ってください!応援しています! (2018年4月24日 19時) (レス) id: e2c2ecdd59 (このIDを非表示/違反報告)
綾(プロフ) - 琥 珀 く ん 。さん» コメントありがとうございます。琥珀くん。さんにとっての“幸せ”の在り方を良い意味で変えることができたならとても嬉しいです(´。・-・。) 最後まで読んで下さったこと、心から感謝致します。ありがとうございました( ∩'-'⊂ ) (2018年4月10日 20時) (レス) id: 31ad836b06 (このIDを非表示/違反報告)
綾(プロフ) - 夜菜さん» “虐め”や“嫌がらせ”って、孤独で寂しくて、自分の存在を否定されているように感じて本当に辛いですよね。それを乗り越えるお手伝いが出来た事、本当に嬉しく思います。と同時に、その経験を伝えてくださった事、心から感謝致します。最後まで有難うございました。 (2018年4月10日 20時) (レス) id: 31ad836b06 (このIDを非表示/違反報告)
綾(プロフ) - 紗菜さん» コメントありがとうございます。大小関係なく、幸せを感じられる心を持った方って素敵ですよね(^^)修正をしております、宜しければラストがどんな風になるか見届けて下さると嬉しいです。最後まで読んで下さり本当に有難うございました。 (2018年4月10日 19時) (レス) id: 31ad836b06 (このIDを非表示/違反報告)
夜菜 - 最初から最後まで読ませていただきました。もう涙が止まりません。今生きていることって幸せな事だと感じさせられました。私は今までいじめを受けてきてもう耐えきれずに死のうと考えてた事が、今では気持ちがすっきりして生きていてよかったと思ってます。 (2018年4月7日 1時) (レス) id: 3ca2660054 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:綾 | 作成日時:2017年5月12日 20時