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「秋山 舜です(=しゆん)。22歳です。
ダンスの先生してます。よろしくね」
整った顔立ち、柔らかい口調に、爽やかな笑顔、
金髪の長髪に、黒いレザーのジャケットが
雰囲気を醸し出してる。
隣の女性から感嘆の声が聞こえた。
そして、その隣は‥
薫「名波?名波さん?え、寝たの?」
薫くんが机に突っ伏した彼を見て、戸惑ってる。
名波‥、?
聞き覚えのある名前に耳が反応する。
怠そうに身体を起こす彼。
「名波 泰斗です(=ななもり)、21歳。
蟹座です。よろしくお願いします」
時間が止まった気がした。
幼い頃の初恋の人。
ずっと、会いたかった人。
どくんっと昔好きだった彼への気持ちが蘇ってくる。
どうして神様は今なんだろう。
こんな時に、この状態で、再会したくなかった。
もっとちゃんとした場所で、ちゃんとした格好で、可愛い私で会いたかった。
こんな場所で会うなんて。
安っぽい女になったなって、
きっと軽蔑される。
絶対、気づかれないようにしないと。
「すみません、お手洗い行ってもいいでしょうか」
鞄を持って出入口へ。
このまま帰ろう。
佐藤さんに一言、メッセージアプリに、
“ごめんなさい帰ります”と送ると、
すぐ既読になって
“わかった、それなら送ってく”と返信が来て
佐藤さんがお店から出て来た。
「ごめん、困ったよね。あんなとこ」
「違うんです、佐藤さんは何も悪くありません」
「森山が良かったらだけど、飯行かない?」
我儘な私に優しい佐藤さん。
申し訳なくて、
「いえっ!佐藤さんに甘えるわけにはいきません。
1人で帰れるので、戻ってください」
と、断るけれど
「森山お得意の、いつもの遠慮をしてるなら
俺と飯行ってよ。本当に行きたくないならちゃんと言って」
と返され、近くにあった和定食やさんで食事をすることになった。
「‥ここでいいんですか?」
「んー?あ、俺、サバの味噌煮定食ー」
「じゃあ私も同じものを」
唯一あるビールも頼むことなく、
店員さんに、サバの味噌煮定食二つ、と伝える佐藤さん。
てっきり飲み屋さんに行くのかと思ってたから。
「森山、酒飲めないだろ?」
「え?」
「頑張って飲んでたのバレバレ」
なんて言おうか考えていると、ふはっと笑い出す佐藤さん。
「そんなかしこまんないでよ、お酒苦手な子って可愛いと思うよ」
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ココア - 最初から最後まで見させていただきました!素敵な作品でした!読んでいる途中で涙が出てきました(´;ω;`)私が好きなすとぷりの方々でさらに(´;ω;`)これからも素敵な作品を作ってください!応援しています! (2018年4月24日 19時) (レス) id: e2c2ecdd59 (このIDを非表示/違反報告)
綾(プロフ) - 琥 珀 く ん 。さん» コメントありがとうございます。琥珀くん。さんにとっての“幸せ”の在り方を良い意味で変えることができたならとても嬉しいです(´。・-・。) 最後まで読んで下さったこと、心から感謝致します。ありがとうございました( ∩'-'⊂ ) (2018年4月10日 20時) (レス) id: 31ad836b06 (このIDを非表示/違反報告)
綾(プロフ) - 夜菜さん» “虐め”や“嫌がらせ”って、孤独で寂しくて、自分の存在を否定されているように感じて本当に辛いですよね。それを乗り越えるお手伝いが出来た事、本当に嬉しく思います。と同時に、その経験を伝えてくださった事、心から感謝致します。最後まで有難うございました。 (2018年4月10日 20時) (レス) id: 31ad836b06 (このIDを非表示/違反報告)
綾(プロフ) - 紗菜さん» コメントありがとうございます。大小関係なく、幸せを感じられる心を持った方って素敵ですよね(^^)修正をしております、宜しければラストがどんな風になるか見届けて下さると嬉しいです。最後まで読んで下さり本当に有難うございました。 (2018年4月10日 19時) (レス) id: 31ad836b06 (このIDを非表示/違反報告)
夜菜 - 最初から最後まで読ませていただきました。もう涙が止まりません。今生きていることって幸せな事だと感じさせられました。私は今までいじめを受けてきてもう耐えきれずに死のうと考えてた事が、今では気持ちがすっきりして生きていてよかったと思ってます。 (2018年4月7日 1時) (レス) id: 3ca2660054 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:綾 | 作成日時:2017年5月12日 20時