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さとみくんへの嫉妬をぶつけた俺に、

下手くそな笑顔を向けて引き止めるAが可愛くて、愛おしくて。





「莉央何してるかな?あ、泰斗が話してよ、きっと驚‥、」






莉央に電話をかけようとするAの手から携帯を取ってAの腰に腕を回し引き寄せる。





「泰斗‥?」


「ずっと、会いたかった‥」





目を閉じて、次に返ってくるAの言葉に覚悟をする。



今更俺が、こんな事を言う資格なんてない。

やめて、と突き放してくれたらいい。
帰って、と拒絶すればいい。
もう二度と会いたくない、と罵倒してくれたら‥







「私も」






期待してなかったAの返答に、息をするのも忘れるくらい頭が真っ白になる。


ぎゅっと弱い力で俺に背中を回すA。





会いたくて、何度Aを求めただろう。



勝手にいなくなったAを何度も責め、

伝えることのできなかった想いに蓋を閉じた。




それなのに、突然Aが目の前に現れ、
今こうしてAの温もりを感じているのが信じられない。



今まで、幸せだと思うことはあっても、
どこかで足りないものを感じていた。


それが、一瞬にして満ちていくのがわかる。



途端に、脳裏に浮かぶさとみくんの存在。









「っあ、莉央‥」






莉央に電話をかけて、繋がった瞬間ぱあっと表情が豊かになるAに、自然と口元が緩む。

と同時に襲う、虚しさ。



手の届くところにAがいるのに、
目の見えない壁があって遠くに感じる。


俺は俺の人生を歩んでいるように、
AはAで俺とは違う人生を歩んでいる。



俺を見るAの瞳を見れば、
純粋で、まだ汚れていない真っ白なまま育ってきた事は痛いほど伝わってくる。


配信をして、良い人もいれば、汚くて狡い人にも沢山出会い、
俺自身、綺麗だとは言えない事も沢山してきた。





そんな俺が、Aとこれから仲良く出来るだろうか。
Aはそんな俺を、受け入れてくれるだろうか。








「莉央が今から来るって!ね、ほら入って!」






Aに急かされ、断る事もできず靴を脱いで中へと入る。





「莉央と会うのって泰斗いつぶり?
あ、泰斗はこっち、ソファー座って。
りんごジュースとぶどうジュース、あと緑茶か水あるけど、何飲む?」




楽しそうに喋るAに、緑茶と伝えると、
えー泰斗はお客様だからりんごジュースね、と無理矢理りんごジュースにされた。

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設定タグ:ななもり , すとぷり   
作品ジャンル:恋愛
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ココア - 最初から最後まで見させていただきました!素敵な作品でした!読んでいる途中で涙が出てきました(´;ω;`)私が好きなすとぷりの方々でさらに(´;ω;`)これからも素敵な作品を作ってください!応援しています! (2018年4月24日 19時) (レス) id: e2c2ecdd59 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 琥 珀 く ん 。さん» コメントありがとうございます。琥珀くん。さんにとっての“幸せ”の在り方を良い意味で変えることができたならとても嬉しいです(´。・-・。) 最後まで読んで下さったこと、心から感謝致します。ありがとうございました( ∩'-'⊂ ) (2018年4月10日 20時) (レス) id: 31ad836b06 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 夜菜さん» “虐め”や“嫌がらせ”って、孤独で寂しくて、自分の存在を否定されているように感じて本当に辛いですよね。それを乗り越えるお手伝いが出来た事、本当に嬉しく思います。と同時に、その経験を伝えてくださった事、心から感謝致します。最後まで有難うございました。 (2018年4月10日 20時) (レス) id: 31ad836b06 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 紗菜さん» コメントありがとうございます。大小関係なく、幸せを感じられる心を持った方って素敵ですよね(^^)修正をしております、宜しければラストがどんな風になるか見届けて下さると嬉しいです。最後まで読んで下さり本当に有難うございました。 (2018年4月10日 19時) (レス) id: 31ad836b06 (このIDを非表示/違反報告)
夜菜 - 最初から最後まで読ませていただきました。もう涙が止まりません。今生きていることって幸せな事だと感じさせられました。私は今までいじめを受けてきてもう耐えきれずに死のうと考えてた事が、今では気持ちがすっきりして生きていてよかったと思ってます。 (2018年4月7日 1時) (レス) id: 3ca2660054 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2017年5月12日 20時

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