[短編集]ヒプマイ男子日記

麻天狼 ページ45

寂雷

「ごめんなさいｯ!!先生ｯ」

先程、高い位置にあったカルテを取ろうとした際に足を滑らせ、私を受け止めようとしてくれた寂雷先生を押し倒してしまった

しかも寂雷先生の顔は私の胸で埋もれている

「す、すぐに退きますねｯｯ!!!!!!!!」

慌てて私はサッと後ろに退いたその瞬間、勢いがありすぎたのか今度は後ろに倒れそうになる

「危ない…!!」

ドサッと、今度は寂雷先生が私を押し倒した形になってしまった

寂雷先生の長い髪がカーテンのようだ

「気をつけないといけないよ、君はとくに」

「すみません……」

よーく見ると寂雷先生の耳は今までに見たことがないくらい赤かった

＊
一二三

「あ、ひｯ、あ、ご、ごめん…」

涙目になって今にも大きな声で泣いてしまうんじゃないかという顔をしている一二三

「ううん！こっちこそごめんね、私が一二三の腕を引っ張ったから…」

先程私が倒れそうな時に、周りに手すりや掴むものがなく、咄嗟にその場にいた一二三の腕を引っ張ってしまったのだ

結果、2人仲良く倒れ込んでしまった
その際、一二三の顔を受け止めるかのように私の胸がクッションになった

スーツを着てなかった一二三には刺激が強すぎたみたい

「私怒ってないよ、だから泣かないで？」

「うん……ごめんね」

慰めるようにしっかりと丁寧に手入れされた一二三の頭を撫でた


大きな子供を持った気分だ

＊
独歩

「ごごごごごごごごごめんなさい。も、もも、も申し訳ございません」

バグった

独歩がバグを起こしてしまった

先程のアクシデントで独歩はバグったのだ
ほんの些細なことだ。

2人仲良く転んだ時に、独歩の手が私の胸を鷲掴みにしていた
それは事故だししょうがない。


だけど……？

「氏んでお詫び申し上げます。誠に申し訳ありません。こんな生きている価値のない人間にあんな事されて嫌でしたよね。申し訳ございません」

「ちょ、独歩!!落ち着いてよ!!」

どうにか独歩を正気に戻さなければ

グイッと私は独歩を引き寄せて、額をぶつけた

「「いっ…!」」

少々勢いが着きすぎたのか私までダメージを食らった

「目が覚めた？私は怒ってないよ？大丈夫」

「あ…すまん、ありがとう」

やっと正気に戻った独歩

でも少しその頬は赤く染まっていた

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