夏夜のマジック【YG】 (ページ10)

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#10 YG side ページ10

タクシーが病院に着いてから

久しぶりに死ぬ気で走った。

バスケ部での現役を思い出す。

看護師｢院内では走らないように…｣

ナースステーションの看護師の言葉なんて

右から左どころか入ってもこねえ。

そんななか1人の男が目に入った。

YG｢ジニヒョン｣

JN｢あぁ、ユンギ｣

YG｢Aは？あいつの様態は？｣

俺の焦りとは裏腹に

少し考えるようにして口を開いたジンヒョン。

JN｢504号室だよ。｣

YG｢分かりました。ジニヒョンは帰りですか？｣

JN｢あぁ、個室じゃないからあんまり溜まれないんだよ｣

いつも賑やかでうるさいジンヒョンが

こんなにも静かに答えるから

こっちまで気が狂いそうだ。

ただでさえ気が動転していたというのに

まあそれはジンヒョンも同じだろうが

とりあえず

今はジンヒョンの考えが読めねえ。

Aは無事なのか？

ジンヒョンに軽めの挨拶を済ませて

先へと急いだ。

・

病室についてドアに手をかけた時

Aの笑い声が聞こえた

朝、電話で聞いた声と同じで

Aの無事を理解した

頭は追いついているのに

心はもっと先を行く

俺はあいつの声を聞いた瞬間、

無事だと認識するよりもさきに

安堵した。