恋なんてしないはずだった【国見英】

▽ ページ27

次の日、学校に行くと

既に噂が流れていた。




悪い噂というのは

広がるのがとても早い。





そのくせ収拾がつかないから大変だ。








人目を気にしながら席に着いた。






私は何もしていないのに、

どうしてこんなに

肩身の狭い思いをしなくちゃいけないの？







私みたいな初心者が、

バレー部のマネージャーなんてしたのが

そもそも間違えだったんだろうか。









.









溝口「朝からすまないね」

「いえ、覚悟していました。」







時は流れ放課後。



今日も昨日の一件のせいで練習はなし。




私がやった訳じゃないけど、

迷惑をかけていることに変わりはない。




ものすごく

申し訳ない気持ちになった。









「コーチ、私、退部ですか？」









状況証拠が揃ってる以上、

私を信じてくれる人なんていない。




コーチだってきっと

私のことなんて信じちゃいない。





退部はほぼ確定かな。






なんて考えていたら

コーチは、




私に優しく“早河はどうしたい？”

と聞いてきた。









こんな信頼されていないマネージャーに

弁解をさせてくれることに正直驚いた。

　





コーチとこうやって

ゆっくりと話をするのは、




入部を決めた時以来。






それ以外は

練習メニューを聞いたりするときに

ちょっとだけ話す程度。







それなのに

私の口は止まることはない。









「私、バレー部を辞めたくありません。ここで辞めたら、私がやったって認めたみたいで嫌なんです。

それに、私はみんなのことが大好きだから最後までこの目で見届けたいんです。」







コーチは私の言葉を

最後まで聞いてくれた。







話しているうちに、

悔しさで涙が込み上げていた。

▽→←▽

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す