恋なんてしないはずだった【国見英】

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香恋「私、いつもはちゃんと時間通りに来るんですけど、たまたま遅刻してしまったんです。それで急いでここに来たら、その時には既に……」


溝口「……」







香恋ちゃんの証言を聞いても

コーチは何も答えない






及川「俺たちが集まった時には既にこうなってました」

岩泉「恐らく俺たちより早く来た奴の仕業だと思います」







まぁ、普通に考えたら、

そうだよね。





でもさ、それって




溝口「お前たちより早く来た奴は前に出ろ」

「私です…」

溝口「…早河が来た時にはどうだった？」







先生からの、

バレー部のみんなからの視線が怖い。







「私が来た時には、何もなっていませんでした」

溝口「…」







私、なんで震えてるんだろう？

何に怯えてるの？





みんなからの視線が怖いから？







「いつものように仕事を済ませ、コーチを呼びに行って戻ってきたらこうなっていました」

溝口「そうか……分かった。」

「私、やってません。」

溝口「とりあえず今日の練習は中止だ、片付けをしたら全員帰れ。」







私は、

本当にやっていないのに。



何故みんなそんな目で私を見るの？









「私じゃ…」

香恋「被害者ぶるのも大概にしてください。」

「っ……」

香恋「そんなことより、自分で片付けてくださいよ」

「自分でって、私じゃ」









どんなに、

どんなに私じゃないと言ったところで





誰も信じてくれないのだと分かった。






どうして私が

こんな目に遭わないといけないの？






どうして信じてくれないの？






どうして？

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