ゼロからはじまるストーリー

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「おはようございます」

「おはよう、ついに来たね、記者会見」

デスクに着くと、先輩たちはもうすでに資料を読んだり、この後来るであろう質問に備えて事前に回答を用意したりしていた。

「ですね。今は賛否両論って感じですけど、いざ始動するとどっちに傾くのか……」

「さあね〜、こういうのってちょっとしたことでヒーロー扱いか悪役か決まっちゃうから」

先輩はどこか他人事のように笑って言った。

「いつかの政策は酷かった。毎日クレームの電話対応に追われて、神経じゃなくてね、体力がすり減るのよ」

「え、神経じゃないんですか？」

「うん。だって慣れたらなんともないでしょ？ただクレームって長いから」

前にいた部署、島だったからクレームも何もなかったんだよなあ。ただ近所の人と交流して、町おこし考えて。こっちに来てからはクレームが来るようなことはほとんどなくて、もしかしたらクレームって初めて対応するかも。
私はへえ、と相槌を打ちながらそんなことを考えていた。

「あ、ねえねえAちゃんに聞きたいことがあってさ」
「珍しいですね、なんですか？」

先輩は待ってましたと言わんばかりの顔をして、自分のデスクから資料を持って来た。

「ちょっと気になっちゃってね。Aちゃん最近結婚して名字変わったでしょ」

「はい。それがどうしたんですか？」

MERと私の結婚と、何か関係なんてあったっけ？

「この資料に書いてある……」

「おい、会見始まるぞ」

先輩が何かを言いかけたタイミングで部長がそう話しかけた。先輩は「また後で」と囁いて、置いてあるテレビの前に椅子を持っていった。

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