ゼロからはじまるストーリー

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次の日、目が覚めると、ちょうど音羽さんも起床したところだったようだ。

今日はTOKYO MERの記者会見があるから少し早めに出勤しろと言われていたので、もしかしたら音羽さんより早く起きれるかも、と少し期待していたのだけれど残念。

そういえば早く寝室問題を解決させなければいけない。このままではずっと音羽さんはリビングのソファで寝ることになってしまう。

引っ越したあの日、あろうことか寝室が1つしかなくて、おまけにベッドはダブルベッドであることに気づいた。
どうしたものか、と私が悩んでいたところ、音羽さんが「私はソファで寝ます。貴女が寝室を使ってください」と言ったのだ。

でも、ソファってあまり寝心地の良いものではないし、多忙で体力勝負のお仕事をされている音羽さんよりむしろ私が寝るべきなのではないかと思う。今日帰ってきたら聞いてみよう。

「早いですね」

「仕事の都合で少し早めに起きたんです」

「TOKYO MER、ですか」

「はい、ご存知なんですか？」

「ええ、少し」

東京都の取り組みなのに厚生労働省にも情報が伝わっているのか。
ああでも、確か厚生労働大臣の白金さんって赤塚知事と次の首相の座を狙って争ってる、とか言われてたっけ。そんなライバルが提案したものなら注目されていてもおかしくない。

今日は朝食を一緒に食べて、私は音羽さんより少し先に家を出た。
出る時に「行って来ます」と言ってみたものの、音羽さんからの返事はやっぱりなかった。

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