ゼロからはじまるストーリー

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「どうしたの、ずっとニヤニヤして。なんか良いことあったんだ？」

わかった、旦那さんのことでしょ、とそちらもニヤニヤしながら先輩は言った。

「私、ずっとニヤニヤしてます？」
「うん。朝からずうっと」

何を言えばいいかわからず、とりあえず私は先輩のずうっとという言葉をそのまま唱えた。

「なになに、なにがあったの？ せっかくなんだから聞かせてよ」
「……いや、大したことないですから」
「大したことないかどうかは私が決めるから、ね、良いじゃない」

本当に幼稚で、大したことないのだけど、とは思ったけど、これ以上断るのも違うかと、私は先輩に理由を話した。

「な、お、えーっと、相手の方と出会ったのがお見合いだったので、あんまり仲も良くなかったんですけど」
「お見合い？ Aちゃんって良いとこの子？」
「いえ！成り行きでそうなっただけです」

先輩はそれを聞いて、ごめん、話中断しちゃったね、どうぞと、ジェスチャーをつけて言った。

「最近、仲良い！まではいかないですけど、結構良い雰囲気になったんじゃないかなあって思ったら嬉しかったんです」
「……ふーん、そう」

自分から聞いておいて興味なさそうな先輩は、私の顔を見て冗談だと吹き出した。

「幸せそうでなによりじゃない。お互い良い人と会えたってことでしょう？」
「まあ、そうなりますかね？」

先輩の言葉を肯定するのは気が引けて、曖昧な返事をしてしまった。尚さんもそう思ってくれてると嬉しいけど、どうなんだろう。

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