ゼロからはじまるストーリー

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こうして、あっという間に話は進み、まずはあらゆる手続きをしてそれから引越しをして、あっという間に音羽さんとの生活が始まった。

「おはようございます」

「おはようございます。ごめんなさい、何もしてなくて」

朝起きるともう既に音羽さんは起床していた。まだ寝巻き姿の私とは対照的に身支度も整っている。

「大丈夫です。自分のことは自分でやりますから」

「でも、せっかくなら朝ごはん一緒に食べませんか？まだ食べてなくて、時間に余裕があればで構わないんですけど」

「さっき食べましたので」

「そう、でしたか」

まだ6時なのにもう朝食まで済ませてるっていうの！？
早すぎる、官僚ってそれくらい大変な職業なんだろうな。

「私の帰りのことは気にしないでください。何時になるとも言えませんし、夕食も自分で済ませますから」

音羽さんは鞄に携帯やパソコン、その他諸々を詰め込んで玄関へ向かった。

「わかりました、行ってらっしゃい」

彼は少しだけこっちを見ただけで返事は返してくれなかった。まあ、そりゃ、別に恋人同士の結婚ではないし、音羽さんが私に愛情を抱いているとは思わないけれど、それでも挨拶くらいは返して欲しかったなんて思ったり。

「そういえば時計、ダイバーズウォッチだったな」

家がそういうのに厳しかったから、スーツにそういう時計はあまりつけない方が良い、と聞いていたけれど、何か思い入れのある時計なのかもしれない。でも、官僚ってそういうの厳しくないのかな？……私には関係のないことだし、余計なことは言わないでおこう。

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