ゼロからはじまるストーリー

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「Aちゃん！」

声のした方向を振り向くと、涼香ちゃんが手を振って駆け寄ってきた。

「涼香ちゃん！久しぶりだよね？」

「うん、ちょうど2年ぶりくらいかな？」

彼女は喜多見涼香ちゃんと言って、NPO法人のスタッフとして病院などにいるのだけれど、私がNPOと関係のある部署にいた頃に仕事で出会い、そこから仲良くしている。

「そんなに会ってなかったっけ？1年くらいかと思ってた」

「Aちゃん常に忙しそうだから声かけにくくて……今は何やってるの？」

「色々やってるけど……あ、TOKYO MER関連とか？」

涼香ちゃんは私の言葉に驚いたような顔をして、「じゃあお兄ちゃんには会った？」と聞いてきた。

お兄ちゃん……？そもそも涼香ちゃんにお兄さんがいたこと自体初めて聞いた。あ、もしかして……

「お兄さんって、喜多見幸太さん？」

「そうだよ」

「そうなんだ……前会ったよ」

言われてみれば、とっても優しそうな雰囲気と笑顔は2人ともそっくりかも。

「ということは、今兄妹で同じ病院にいるってこと？」

「うん、たまに洗濯物を取りに行ったりしてるよ」

お兄ちゃんスタッフルームに洗濯物溜めちゃうから、と涼香ちゃんは困ったような笑顔でいった。仲良しでなんだかちょっと羨ましいなぁ、なんて思う。

「そういえば、愛梨ちゃん結婚したんでしょ？」

突然の質問に私は驚きつつ答える。

「誰からその情報……」

「内緒〜」

そういって微笑む彼女につられて思わず笑ってしまう。涼香ちゃんは人当たりが良くて明るくて、話していて楽しい。

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