リクエスト ページ39
続き
・
あれから幾分か経った
正直もう寸たりとも力は残っていない
折れた骨はなんかギシギシ言ってるし、這いつくばりすぎて腕や膝はずるむけで血だらけ
そして一向に森から出れる気配がない、そう。俗に言う迷子
私は一体何歳なんだと自問自答したい
『うわァァァァ帰りたいイ…』
何処へとは言わない、でもとりあえず痛さと辛さで叫ばずにはいられなかった
「…スン、変な匂いだな、
……………てめえ人っ子か?」
ガサッと突然しげみが大きく揺れてビクッとすると
目の前に現れたのはれっきとした鬼だった
多分私の叫び声につられてやってきたんだろう
ねえ、私もしかして大馬鹿なことした?
『いや…違います違います、見てこの牙、ほら立派でしょ?ね?』
どうやら冷静に返答するくらいの理性は残ってたみたいで
私は自分の口を見せつけるように指で唇を引っ張った
その時に 歯並び悪っ て聞こえたのは聞かなかったって事でいい?
「……。それにしちゃあ、てめえやけに人間臭いなぁ、?」
1口でも喰ってみりゃあ鬼か人か一発で分かんだけどなァ
そのボソリと言った言葉が聞こえた途端 食われる と
思い腰が引けた
ほふく前進しかできない今の私は最早どう見てもただの餌である
これは死んだ、ああ死ぬ
死にたくない
でも最後にあいつと面合わせずに済んで良かった、
既にぐちゃぐちゃな私の死体を見てせいぜい泣き喚いとけ
ゆっくりと正面の鬼から伸びてくるその手を抵抗もせずじっと見つめる
さよなら
『きぶつ「ウワァァァァァァァァァ!!!!」
その名を呼び終わる前に私の視界は真っ赤に染まった
何が起きたのか分からんけど 目の前の鬼の腕が一瞬にして丸ごとなくなっていた
雄叫びをあげて 地面に寝転んで 痛い!と喚くその鬼は私をカッと睨みつけた
「てめえ!!!!てめえの仕業か!」
『…い、いや、…ちが』
「私の犬に手を出したのはお前か?」
「ひ、あ、」
突然聞こえたその聞き慣れた声は私がいつも聞くより一段と低く地を這うような声だった
そして問いかけておいたクセに返事を言う前に目の前の鬼は粉々になって消えていた
こんなことをするのはアイツしかいない
そう、あいつ
「犬は主人の傍を離れてはならんだろう、なあ、A」
嗚呼、きっとこの人からは逃げられない。
血まみれになった私の頬をゆっくりと撫でられながら私はそう再確認した
__
優しい?
4672人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
m - 初コメント失礼します。鬼舞辻推しとしては素晴らしい作品だなと思いました。そして、夢主ちゃんが泣き虫な点もこの作品の良いところだと思いました。これからも、作者様が明るい気持ちでこの作品に戻って来てくださることを願い、応援しております。 (2023年2月19日 1時) (レス) @page45 id: 6abbe396c0 (このIDを非表示/違反報告)
らいむ - 不死川さんオチを恵んで・・・ください・・・ バタ(倒れた) (2022年12月29日 15時) (レス) @page45 id: 7852438752 (このIDを非表示/違反報告)
美穂(プロフ) - 途中で終わっていて寂しいですてんまた更新されるのを楽しみにしてます (2022年8月6日 21時) (レス) @page45 id: c0f42fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
thmrt1214(プロフ) - お話が更新されていて、とても嬉しいです! (2021年11月18日 12時) (レス) id: 92e3ef3143 (このIDを非表示/違反報告)
こたちゃん信者(プロフ) - むいくん、小芭内、天元様のオチを見てみたいです! (2021年8月18日 15時) (レス) id: 74c0c321e0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:桜花 | 作成日時:2019年8月10日 20時