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哀れな鬼 ページ30





1度だけ聞いたことがある

なぜその子にそのような事をするのかと


体を粉々にされる覚悟で聞いたけど案外素直にその方は答えてくれた




「あやつは死なない。ああ、勿論体的な意味ではなく、精神的な面でだ。すぐ痛みを恐れるくせにあれだけしても私の元を離れない、己の自衛のために昨日したことをすっかり忘れるように出来ている」



「あれは相当の馬鹿にしかできない。だがそこも哀れで良いだろう。」



「だが万が一の為だ、逃げ出したらどうなるのかを教えている、」



「……何だ、文句でもあるのか?」




当然文句などない。むしろ俺の感情は高ぶっていた

あの子がそこまでの子だったとは

あの方の独占欲をかきみだし、あそこまで執着させるとは。
きっとあの方にとって人間でもなければ鬼でもないあの子だからこそ特別なんだろう




だけど事件が起きたのはあの日だった


ふとその子は俺に聞いた




「私のおかあは?」



俺に初めて発した言葉だった。驚き、というまでの感情は出なかった

でも胸が少しドクリとしたからこれはもう驚きに近いといっていいのだろうか

俺は素直に答えた
だってもうこの子も知っているのかと思っていたからね



「君の家族はみんな死んでるよ!」



そう言うとその子は倒れた。
後からあの方に散々殺されたけど

問題はそのあとだった

何でかは知らないけどその子の記憶が曖昧になってきた

そうだ、確か人間って家族とのつながりを強く意識するんだっけ

あ〜そっか、俺に聞くまで信じて止まなかったんだ、家族という存在を

そうだね、辛いよね。皆君のとっくの前に死んでるんから

君がいつも隣にいるあの方の手によって。

だから相当ショックだったのかな?


それからその子はまるで変わったみたいだった


家族の元に帰る といないはずの家族のことを言うようになったし

何か嫌なことがあると睨んでくるし、痛いといつも以上に泣き叫ぶ、
人間さが増して、感情が豊かになった


その代わりあの方の折檻の激しさは増していった

いつも通りにいかないのが腹立つんだろうね。まあ俺には感情ないしわかんないけど

きっと今のその子なら昨日のことも覚えてる
あの方への憎しみも増すばかりだろう


それでもあの方はその子を一切手放そうとはしなかった
まるで逃がさないとでも言うように

もはやあそこまでいくと執着ではなく依存

俺はどうしようとも思わなかったけど、その子の哀れな姿を見るのは今までの生で1番楽しかった

哀れな鬼→←哀れな鬼



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m - 初コメント失礼します。鬼舞辻推しとしては素晴らしい作品だなと思いました。そして、夢主ちゃんが泣き虫な点もこの作品の良いところだと思いました。これからも、作者様が明るい気持ちでこの作品に戻って来てくださることを願い、応援しております。 (2023年2月19日 1時) (レス) @page45 id: 6abbe396c0 (このIDを非表示/違反報告)
らいむ - 不死川さんオチを恵んで・・・ください・・・  バタ(倒れた) (2022年12月29日 15時) (レス) @page45 id: 7852438752 (このIDを非表示/違反報告)
美穂(プロフ) - 途中で終わっていて寂しいですてんまた更新されるのを楽しみにしてます (2022年8月6日 21時) (レス) @page45 id: c0f42fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
thmrt1214(プロフ) - お話が更新されていて、とても嬉しいです! (2021年11月18日 12時) (レス) id: 92e3ef3143 (このIDを非表示/違反報告)
こたちゃん信者(プロフ) - むいくん、小芭内、天元様のオチを見てみたいです! (2021年8月18日 15時) (レス) id: 74c0c321e0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜花 | 作成日時:2019年8月10日 20時

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