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蜜璃「うわぁん、Aちゃん気をつけてね!」
しのぶ「またすぐ連絡してください」
大粒の涙を零す蜜璃ちゃんと、呆れたように蜜璃ちゃんの背中を撫でるしのぶ。
『うん、向こうの美味しいものの写真とか送るね!』
ここは空港のロビー。
無事、産屋敷高校を卒業し短い春休みを堪能してすぐ。
今日は私がアメリカへ立つ日だ。
寿美「…A、ほんとに行くの?」
『あはは、そんな顔しないでよ寿美』
寿美「寂しいよぉ…!」
『…寿美』
私の前じゃいつも天真爛漫に笑う寿美が目に涙を溜めて抱きついてくる。
さすがに私ももらい泣きしてしまいそうだ。
『私、寿美のおかげで高校生活楽しかったよ。いつも笑わせてくれてありがとう』
寿美「連絡寄越してよね!じゃなきゃ絶交だから!」
『うん、約束』
小指を絡めて約束をした。すると
宇髄「おーいA」
煉獄「やぁ!」
『わぁ、2人ともお見送り来てくれたんですね!』
煉獄「これを預かってな!受け取ってくれ!」
相変わらず大きな声で色紙を差し出された。
『わ、すごい…』
それは炭治郎くんや善逸くん、伊之助くんを初めとする前世組からの寄せ書きだった。
宇髄「今見たら泣いちまうぜ?あとで見な」
『うん、そうする…』
鼻の奥がツンとしたから、無理やり笑って涙をひっこめる。
宇髄「Aのことだから心配しちゃいねぇが、辛かったらすぐ戻ってこいよ」
『ありがとう…ッ』
ぐしゃぐしゃと撫でられて、堪えようとしていた涙が目に溜まる。
煉獄「泣くんじゃない、君の笑顔を見送りたいんだ」
『すみません』
必死に眉間に力を入れて、こらえる。
そんな私を見て、優しく笑った煉獄さんは私の肩に手を置いた。
煉獄「心を燃やせ、忘れるな」
『…はい!』
いつだったか、私に贈ってくれた言葉。
私を奮い立たせてくれる魔法の言葉。
煉獄「うむ、いい顔つきだ」
威勢のいい私の返事に煉獄さんはにっこり笑った。
宇髄「ほら、愛しのダーリンんとこ行ってこい」
『だ、ダーリンって…』
ポン、と背中を突き飛ばされて、2.3歩進んだら
大好きな実弥が歩いてくる。
ああ、
お別れの決意なんて
嫌という程してきたのにな。
『いけない』
ペチン、と頬を叩いて気持ちを律する。
泣いちゃダメよ、新堂A。
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rann(プロフ) - すべて読ませていただきました!キャラクターとの会話が一つ一つ深くて…もう言葉では言い表せないくらい素晴らしい作品でした!更新を追って見れなかったのが悲しいです…素敵な時間をありがとう! (10月6日 2時) (レス) @page50 id: 22b59ed309 (このIDを非表示/違反報告)
パチ麻呂(プロフ) - 柑橘蛍さん» コメントありがとうございます。あの二人は一生一緒なんです、なにがあっても(;_;) (2021年2月6日 19時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
柑橘蛍(プロフ) - 不死川さんと…また…一緒に…(尊死) (2021年2月5日 16時) (レス) id: c6603d0c65 (このIDを非表示/違反報告)
パチ麻呂(プロフ) - 冬の瑠璃さん» ありがとうございます(;_;)知らないフリ、も読んでくださり嬉しいです。なんとなく話の構造は練れてますのでもうしばしお待ちください、、! (2021年1月9日 23時) (レス) id: 950c111f3d (このIDを非表示/違反報告)
冬の瑠璃 - とても感動しました!私、“知らないフリ”も見てます!大ファンです!お話待ってます! (2021年1月8日 18時) (レス) id: ee38c723d2 (このIDを非表示/違反報告)
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