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楽しい時間はあっという間。

明日も部活の朝練がある玄弥は帰る時間に。
実弥が車で送っている間に部屋の片付けに勤しんだ。

一通り部屋の片付けも済まし、残りは洗い物だけ。
その前に…。
ベッドのサイドテーブルにしまっていた小包。
綺麗に包装されたそれは、実弥への誕生日プレゼント。
もちろん今までのバイト代をせっせと貯金して買ったもので、高校生の私からすればだいぶ高級品。

1人の大人が身につけていて恥ずかしくない程の腕時計だ。


喜んでくれるかなぁ。

笑ってくれるといいな。


小さな期待を胸に、小包を元に戻して食器の片付けをしにキッチンへ戻った。



丁度お皿洗いを終え、食器を拭いていると実弥が帰ってきた。

「片付け任せて悪かったな、ただいま」

『おかえりなさい、お風呂沸いてるよ』

「あー、その前にそれ手伝う」

私からお皿を受け取り食器棚へ戻してくれる実弥。
こちらの様子を伺うように振り返って口を開いた。

「…風呂、一緒に入るか」

『うん…』

布巾をきゅ、と握りしめて小さく返事をした。







一緒にお風呂に入ることは初めてではないけれど、やっぱり明るいし、洗っている所を見られるのは恥ずかしいし…あまり得意ではない

なにより、濡れた髪を降ろした実弥は少し幼い顔立ちに見えて余計ドキドキしてしまう。
だから湯船に浸かる時は実弥の足の間に割って入って背中を向ける。

ポタ、と実弥の髪から零れ落ちた水滴が私の首筋に落ちて思わず肩を震わせる。

「お、わりぃ」

『いや、平気』

耳元で囁くように放たれる言葉だってわざわざドキドキさせてくるし…

今日は実弥の誕生日で、私ばっかりドキドキさせられて悔しい。

『ね、今日どうだった?楽しかった?』

「あァ、楽しかったぜ。久しぶりに食いすぎちまった」

言葉通り背後の実弥の声色は嬉しそうだった。



「…あとは、Aちゃんからのプレゼントが欲しいなァ?」


一気にトーンダウンした低い声にゾクリとしたのはつかの間、ゆるゆると伸びた手が私の胸をやんわりと揉む。
このままじゃ実弥のペースに持っていかれる、まずい…!

『ちょ、まっ、ストーップ!!』

「うぉ?!」


ザブン、と勢いよく立ち上がった私を見る実弥。
このままいい感じの雰囲気にしようとしていたのにそれを阻害されて不機嫌そうに眉根を寄せた。

『ちゃんとプレゼント用意してるよ!…まだシないからね!』

豆鉄砲を食らった鳩みたいにポカンとする実弥を置いて風呂場から出た。

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rann(プロフ) - すべて読ませていただきました!キャラクターとの会話が一つ一つ深くて…もう言葉では言い表せないくらい素晴らしい作品でした!更新を追って見れなかったのが悲しいです…素敵な時間をありがとう! (10月6日 2時) (レス) @page50 id: 22b59ed309 (このIDを非表示/違反報告)
パチ麻呂(プロフ) - 柑橘蛍さん» コメントありがとうございます。あの二人は一生一緒なんです、なにがあっても(;_;) (2021年2月6日 19時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
柑橘蛍(プロフ) - 不死川さんと…また…一緒に…(尊死) (2021年2月5日 16時) (レス) id: c6603d0c65 (このIDを非表示/違反報告)
パチ麻呂(プロフ) - 冬の瑠璃さん» ありがとうございます(;_;)知らないフリ、も読んでくださり嬉しいです。なんとなく話の構造は練れてますのでもうしばしお待ちください、、! (2021年1月9日 23時) (レス) id: 950c111f3d (このIDを非表示/違反報告)
冬の瑠璃 - とても感動しました!私、“知らないフリ”も見てます!大ファンです!お話待ってます! (2021年1月8日 18時) (レス) id: ee38c723d2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:パチ麻呂 | 作者ホームページ:ないです〜  
作成日時:2020年7月6日 2時

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