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時の流れというのは、恐ろしい。
半袖のシャツだった制服は、セーターとブレザーを羽織るようになり、季節の移り変わりを感じる
相変わらず実弥の家に通いながら受験勉強に励む私は、順調に成績を伸ばしていた。
進路は相変わらずアメリカの大学だけど、実弥の提案によっていろいろ変わってきた。
忘れがちだけど、彼はキメツ学園の教師で、進路の話となれば彼の専門分野のようなものだった。
学園で資料を集めてきてくれた中に、私の行くアメリカの大学に関係する資料を見つけてくれた。
まず、日本の四年制大学、鬼滅大学に受験する。
鬼滅大学のカリキュラムに組まれているのは、2年間の交換留学をするというもの。
その留学先の選択肢には、お父さんの言うアメリカの大学がある。
要するに、お父さんのコネではなく私の学力で留学する権利を勝ち取り、2年間の留学を終えたあとも残りの2年間は日本の鬼滅大学に通うことができる、というものだ。
でも実弥の薦める鬼滅大学はそれなりに有名で頭のいい大学。自分の頭は悪くないと思うけれど、やっぱり受験は大変。
『実弥、またB判定だった…』
「大丈夫だ、ケアレスミスをカバーしてけばいける」
模試の判定結果を2人で見ては対策を練って受験勉強に励んだ。
実弥も仕事で残業が多かったり、私は予備校に通いながらの生活で、週に2日ほどの夕飯を一緒に食べる時間が唯一の時間だった。
「そういや、親父さんに進路のことちゃんと話してんのか?」
『…うーん…』
歯切れの悪い返事で察したのか、実弥は小さくため息をついた。
「挨拶行くぞ」
『え、お父さんのとこ?実弥も?』
「あァ。彼女の親に挨拶行くの、なんかおかしいかァ?」
『いえ、ちっとも…』
「ついでに進路の説明も一緒にしてやるからよ。ちゃんと話せ」
『うん…ありがとう』
「うし、おはぎ買ってきてるぜ、食うか?」
『やだ、チョコアイスがいい』
「へいへい、そう言うと思って買ってきてらァ」
冷凍庫から取ってきたお気に入りのアイスを私に手渡して、ソファに腰掛けた。
「お前も、俺の実家来るかァ?」
『実家…てことは寿美も玄弥も…』
「おー、そろそろいいんじゃねぇかァ」
『うん、じゃあ今度のおやすみにお邪魔しようかな』
「お袋に連絡しとく」
『お願い』
片手でスイスイとスマホを操作する実弥。
ついに彼氏のご実家へ…
やばい、なんか緊張してきた。
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rann(プロフ) - すべて読ませていただきました!キャラクターとの会話が一つ一つ深くて…もう言葉では言い表せないくらい素晴らしい作品でした!更新を追って見れなかったのが悲しいです…素敵な時間をありがとう! (10月6日 2時) (レス) @page50 id: 22b59ed309 (このIDを非表示/違反報告)
パチ麻呂(プロフ) - 柑橘蛍さん» コメントありがとうございます。あの二人は一生一緒なんです、なにがあっても(;_;) (2021年2月6日 19時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
柑橘蛍(プロフ) - 不死川さんと…また…一緒に…(尊死) (2021年2月5日 16時) (レス) id: c6603d0c65 (このIDを非表示/違反報告)
パチ麻呂(プロフ) - 冬の瑠璃さん» ありがとうございます(;_;)知らないフリ、も読んでくださり嬉しいです。なんとなく話の構造は練れてますのでもうしばしお待ちください、、! (2021年1月9日 23時) (レス) id: 950c111f3d (このIDを非表示/違反報告)
冬の瑠璃 - とても感動しました!私、“知らないフリ”も見てます!大ファンです!お話待ってます! (2021年1月8日 18時) (レス) id: ee38c723d2 (このIDを非表示/違反報告)
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