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待ちに待った花火大会当日。
私の自宅にはしのぶと蜜璃ちゃんがやってきていた。
最初はタワマンにビビっていた2人だけど柱のときはもっと立派な御屋敷を持っていたからすぐに慣れてくれた。
浴衣の着付けを手伝ってもらい、ヘアアレンジも自分ではできないくらい可愛くしてもらった。
ふんわりと編み込まれた髪には2人からもらった髪飾りが。嬉しくてそうっと撫でてみる。
『浴衣なんて久しぶりだよ』
「やっぱり日本人は和服ですね」
「Aちゃん、少し色っぽくなったわね」
『え?そう、かな…へへ』
「ふふ、不死川さんのおかげかしら」
「いろいろお楽しみみたいだし」
意味深な笑みをニヤニヤ浮かべる2人にボッと顔が熱くなる。
『え、ええ、え?』
あたふたする私を他所にクスクスと笑う2人。
「ごめんなさいね、盗み見るつもりはなかったのだけど、着付けの時に見えてしまって」
「不死川さん、印付けたいタイプなのね〜!ステキ!」
2人が何を言っているか分からずあわあわしていると、しのぶが耳元で「キスマーク、ですよ」と囁いた。
『…返す言葉もございません』
ただ恥ずかしさに俯くことしか出来なかった。
そんなこんなでわちゃわちゃしているうちに時間が迫り、2人は帰って行った。
それからすぐに、実弥が家まで迎えに来てくれた。
『実弥、お迎えありがとう』
「おう、待たせたなァ」
いつもの仕事着や部屋着と違って、深い紺色の浴衣を身にまとった実弥。
『実弥も浴衣着てくれるとは思わなかった…』
「あー、玄弥がよ」
『玄弥?』
「Aと行くって言ったら浴衣で行けって大騒ぎしだしてよ」
『ふふ、よかった。仲良さそうで』
「…あの時、初めてお前と行った時は宇髄に説教されて浴衣着たな」
『え、説教?』
「ホントは隊服で行こうとしてた。だけど、止められてよ。…今ならその理由がよく分かる」
カラコロと下駄を鳴らして歩く道は、次第に人通りが多くなり、ザワザワと賑わい始めた。
「Aの浴衣姿が見れんのは嬉しいなァ」
穏やかに笑った実弥の顔に見とれて上手く言葉が出なかった。
『わ、わたしも!嬉しい!あの頃みたいで!』
焦って前のめりに言えば、緩やかに目を細めて笑った。
「…相変わらず綺麗だ。髪も浴衣も、全部」
今世の実弥は息をするように甘い言葉を零す。
『しのぶと、蜜璃ちゃんに、手伝ってもらって…』
「そうかィ。礼しないとなァ」
カラカラとまた笑う実弥に心臓が小さく跳ねた。
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rann(プロフ) - すべて読ませていただきました!キャラクターとの会話が一つ一つ深くて…もう言葉では言い表せないくらい素晴らしい作品でした!更新を追って見れなかったのが悲しいです…素敵な時間をありがとう! (10月6日 2時) (レス) @page50 id: 22b59ed309 (このIDを非表示/違反報告)
パチ麻呂(プロフ) - 柑橘蛍さん» コメントありがとうございます。あの二人は一生一緒なんです、なにがあっても(;_;) (2021年2月6日 19時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
柑橘蛍(プロフ) - 不死川さんと…また…一緒に…(尊死) (2021年2月5日 16時) (レス) id: c6603d0c65 (このIDを非表示/違反報告)
パチ麻呂(プロフ) - 冬の瑠璃さん» ありがとうございます(;_;)知らないフリ、も読んでくださり嬉しいです。なんとなく話の構造は練れてますのでもうしばしお待ちください、、! (2021年1月9日 23時) (レス) id: 950c111f3d (このIDを非表示/違反報告)
冬の瑠璃 - とても感動しました!私、“知らないフリ”も見てます!大ファンです!お話待ってます! (2021年1月8日 18時) (レス) id: ee38c723d2 (このIDを非表示/違反報告)
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