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玄弥「兄貴、おかえり!」
「おー、ただいまァ」
週末、兄弟の住む実家に帰ってきた時のこと。
寿美「あれぇ、実兄帰ってたのー?」
ちょうど風呂上がりだった寿美は駆け寄ってきた。
「あァ、最近帰れなくて悪かったなァ」
寿美「ううん、いつもお疲れ様ー!」
「おぉ」
寿美の頭を撫でてやれば嬉しそうに笑った。
お袋が作る手料理の香りがして、一気に実家にいる実感が湧く。
下の子達が抱っこやらおんぶをせがむからそれの対応をしていると
玄弥「兄貴…ちょっといい?」
「?、どうしたァ」
自分の部屋から顔だけ出して遠慮がちに呼ばれたから玄弥の部屋へ行った。
「なんだァ改まって」
玄弥「いや、なんだじゃないよ。あれからAさんの話聞いてねぇもん!」
フンフンと鼻息を荒くして食いついてくる。
コイツはAによく懐いている。
前世で玄弥が死んでから、てっきり俺とAが結婚したもんだと思い込んでいたようで、Aはあの後死んだと伝えた時こっそり泣いていたことを俺は知っている。
俺に気を使って深く詮索してこなかったコイツがこうやって聞いてきてくれたことがどこか嬉しかった。
「クク、大丈夫だァ。ちゃんと話したよ」
玄弥「え!じゃあ兄貴結婚すんの?!」
「ばっか声がでけェ!寿美に聞かれたらめんどくせぇだろ」
“コイバナ”だかなんだか知らねぇが俺に彼女を作れ作れとうるせぇ寿美や貞子に聞かれたらめんどくさい事は目に見えている。
「…結婚はまだしねェ。Aはまだ高校三年生だぞ」
玄弥「あ、そうか。じゃあ…彼女?」
「まァ、そうなるな」
玄弥「ははっ、よかったな!兄貴!」
「…おー」
“彼女”という呼び方はなかなかむず痒くて落ち着かず、口元を手で覆った。
玄弥「今度こそ幸せになってくれよな!」
そうはにかんだ玄弥。
ちげぇだろ。
「今度こそお前も幸せになんだよ」
玄弥「…うんっ」
恥ずかしそうに俯きながら返事をした玄弥。
死ぬほど過去を後悔した。
Aも、玄弥も。大切なものを何一つ守れなかったことを。
それでもまた全て俺の前に現れてくれた
これ以上幸せになっていいのだろうか。
玄弥「兄貴嬉しそう」
「おー、嬉しい嬉しい」
お前はいつまで経っても俺の可愛い弟だ。
くしゃりと頭を撫でたタイミングで
寿美「おにーちゃん、玄弥ごはーん」
呼ばれたので2人でリビングへ向かった。
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パチ麻呂(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます!近いうちに続編公開致します、もう少しお待ち頂ければ幸いです! (2020年7月5日 0時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - とっても面白かったです。続きも楽しみです! (2020年7月4日 20時) (レス) id: 7a18dbf6fa (このIDを非表示/違反報告)
パチ麻呂(プロフ) - あさこさん» コメントありがとうございます!次の章まで時間が空いてしまうかもしれませんが、幸せな2人がかけるように準備頑張りますので、楽しみに待っていてください(;_;) (2020年7月2日 5時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
あさこ(プロフ) - 毎回更新楽しみにしています!!優しい実弥さんも夢主さんも絶対に幸せになってほしい(*´∀`*) (2020年7月2日 3時) (レス) id: 81f776d056 (このIDを非表示/違反報告)
パチ麻呂(プロフ) - ぽんちゃんさん» 夢主ちゃんの家庭ならありそうですけど、実弥さんはしっかり自立した成人男性ねさであり、きっと親からも信頼されているので、ないんじゃないかな!と解釈しております! (2020年6月27日 4時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
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