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俺、煉獄杏寿郎が前世の記憶を取り戻したのは高校に入学した際に不死川達に出会ってからだった。
それまではなんの不自由なく、前世と同じ家族とごくありふれた幸せの中暮らしていた。
完全に思い出すまではなかなか辛かった。
前世の記憶が不規則に脳内に流れ込む日々。
幸せな記憶はもちろんたくさんあった。それでも鬼と戦う場面は当時の俺からすれば恐ろしいもので、死に際の記憶は今だってできる限る見たくないものだ。
思春期の俺には夢なのか、それが前世なのか分からずに苦労した。
その記憶に映る人物は紛れもない自分自身なのに。
でもそれを知らない、でも記憶の自分は絶対に自分なのに。何もわからない、分かれない。
それまではずっと鬼狩りとは無関係な幸せな生活を送っていたのだから。あたりまえの事だった。
それでも分かれないことの歯がゆさと、混乱。
前世の記憶など普通なら受け入れられないのだから。
新堂Aの反応はごく自然なものだと思う。
俺も通った道なのだから。
思い出すまで後一歩と言ったところだろうか。
これは他人が口出しして思い出させることではないと思う。たとえ助言するにしても、それは俺の役目ではない。
自販機で水を買った道すがら、片手でスマホをタップする。
「…もしもし、不死川今いいか?。実はな…」
これは俺の役目ではない。
“ いつも私を導いてくれる、光のような人なんです。その人のために強くなりたい”
いつかの記憶だ。君と2人でたまたま食事をしたな。
その時不死川のことをお前はそう言ったな。
Aは、不死川の光で
不死川はAの光だ。
君たち2人のことになると何も心配がない。
君たちなら上手くいく、必ず結ばれる。
根拠こそないがそう思う。
俺の勘はよく当たるんだ。
A、君は気がついていないかもしれないが
君は強いんだ。
その辛い前世も受け入れられる。
大丈夫だ。
もし倒れそうになっても支えてくれる人はたくさんいる。俺もその1人だ。
Aが命をかけて守ったこの世界は、こんなにも美しい。
命は尊いと、君は言ったな。
1度しかない尊い命を、またこうして持って産まれたんだ。
神様がくれた何にも代えがたい贈り物だ。
なに、恐れることは無い。
鬼殺隊、獅子柱。
君はだれよりも強い。
獅子のように暴れていい。
死に物狂いで幸せを取りに行くんだ。
大丈夫、大丈夫だ。
心を燃やせ。
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パチ麻呂(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます!近いうちに続編公開致します、もう少しお待ち頂ければ幸いです! (2020年7月5日 0時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - とっても面白かったです。続きも楽しみです! (2020年7月4日 20時) (レス) id: 7a18dbf6fa (このIDを非表示/違反報告)
パチ麻呂(プロフ) - あさこさん» コメントありがとうございます!次の章まで時間が空いてしまうかもしれませんが、幸せな2人がかけるように準備頑張りますので、楽しみに待っていてください(;_;) (2020年7月2日 5時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
あさこ(プロフ) - 毎回更新楽しみにしています!!優しい実弥さんも夢主さんも絶対に幸せになってほしい(*´∀`*) (2020年7月2日 3時) (レス) id: 81f776d056 (このIDを非表示/違反報告)
パチ麻呂(プロフ) - ぽんちゃんさん» 夢主ちゃんの家庭ならありそうですけど、実弥さんはしっかり自立した成人男性ねさであり、きっと親からも信頼されているので、ないんじゃないかな!と解釈しております! (2020年6月27日 4時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
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