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「君に、一つ昔話をしよう。信じるかは君次第だ」
『はい』
凛々しい顔つきで腕を組んだ煉獄さんは、ゆっくりと口を開いた。
「鬼殺隊には、柱と呼ばれる階級の者がいたのは知っているか?」
『はい、確か呼吸?を用いるとか…』
「うむ!よく勉強しているな!関心!」
「とある柱の話だ。名は獅子柱という」
『…獅子…柱』
“獅子柱”
何故かそれを聞いた瞬間鳥肌が止まらなかった。
訳もわからず不安になった私は制服のスカートの裾を握りしめた。
明らかに様子がおかしいはずの私に驚くことなく煉獄さんは言葉を続けた。
「彼女は当時の炎柱に“ 私はあなたのように真っ直ぐで心身を磨ける柱になりたい”と言った」
『でも、柱って相当強かったんじゃ…?』
「うむ。それなのに自分に自信が無いのか、“ いつも何かが足りない、何かに焦ってる、自分じゃ力不足なんじゃないか”とも言った」
『ふふ、強い人にも悩みがあるんですね』
「そう、彼女は強かった。誰よりも護る意思の強い柱だった。小さい身体で刀を握れば敵味方関係なく目を引く存在だった」
『ならなんでそんな卑屈なんですか?』
「普段こそは大人しい獅子を目覚めさせると、内に秘める獰猛さが溢れる。彼女もそうだ。己の強さに気が付かずに、ただ静かに獲物を狙う獅子のようだった。そんな彼女が目覚めた時、とてつもない強さを発揮した」
どこか懐かしそうな表情で語る煉獄さん。
「己の強さに気がついていないだけだ」
こちらに向き直った視線は炎のような熱意が篭っている。
「獅子奮迅、この言葉を君に贈ろう」
瞬間、自分の声が脳内で響いた。
“獅子の呼吸__壱の型”
『…獅子奮迅…』
頭に流れ込んでくるのは、黒い服で刀を握った自分。
深く呼吸をして、おぞましい生き物に立ち向かっていた。
ハッとしてガラス戸の中に展示された隊服を見る。
『わた、し…?』
偶然か必然か。
その隊服と、記憶のなかの私の服装は一致していた。
実弥さんが言っていた前世って…もしかして…
…鬼殺隊…?
ガラスに映る産屋敷高校の制服を来た私。
これは本当の私の姿なの?
何もわからない自分が嫌で、足がすくんだ。
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パチ麻呂(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます!近いうちに続編公開致します、もう少しお待ち頂ければ幸いです! (2020年7月5日 0時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - とっても面白かったです。続きも楽しみです! (2020年7月4日 20時) (レス) id: 7a18dbf6fa (このIDを非表示/違反報告)
パチ麻呂(プロフ) - あさこさん» コメントありがとうございます!次の章まで時間が空いてしまうかもしれませんが、幸せな2人がかけるように準備頑張りますので、楽しみに待っていてください(;_;) (2020年7月2日 5時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
あさこ(プロフ) - 毎回更新楽しみにしています!!優しい実弥さんも夢主さんも絶対に幸せになってほしい(*´∀`*) (2020年7月2日 3時) (レス) id: 81f776d056 (このIDを非表示/違反報告)
パチ麻呂(プロフ) - ぽんちゃんさん» 夢主ちゃんの家庭ならありそうですけど、実弥さんはしっかり自立した成人男性ねさであり、きっと親からも信頼されているので、ないんじゃないかな!と解釈しております! (2020年6月27日 4時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
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