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気がつけば空は暗くなっていた。
『美味しいっ!!』
見た目よし味よしの実弥さん特性ハンバーグを口いっぱいに頬張った
『凄い美味しいです!』
「そりゃよかった」
目を細めて嬉しそうにした実弥さん
何だか実弥さんといると嫌なことも忘れてしまう。
昨日のお父さんに言われた進学のこと、すごく悩んでいたけどいまはどうでもいい
家が寂しいこともすぐに察して居場所を作ってくれた
そして、私の記憶にでてくる“あの人”
『実弥さん、変なこと聞いていいですか?』
「あ?」
『前、知らない記憶をたまに見るって言ったの覚えてますか?』
「…俺に似てるやつが出るってやつか?」
『それです。…実弥さん…なにか心当たりあったりしませんか?』
こんなこと聞いたって困らせちゃうし、迷惑な質問かもしれない。でもやっぱりこれは他人事だと思えない。だって、あまりにも実弥さんそのものだったから。
実弥さんは持っていたマグカップをゆっくり置いた。
「…それは、前世ってやつかィ?」
『…ぜん、せ…』
驚くほど腑に落ちた。
和室などの風景や、見慣れない格好。
『そう言われれば、納得が…』
「…あんま深く考えるな。また体調崩すぞ」
そう言ってはぐらかした実弥さんの笑顔はまたひどく悲しそうで胸が痛かった。
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『今日もありがとうございました』
「おー」
車で自宅まで送ってくれた実弥さん。
もうひと通りの挨拶は済ませたのに、なかなか動けない私。
『実弥さん』
ちらりと見上げれば、ん?と小首を傾げられる。
あー、かっこいい。触れたい。
『だ、抱きしめてもらっていいですか…?』
「…はァ?!」
『や、やっぱ今のナシで!すみませんさようなら!』
何言っちゃってんの私!!
早口で言って立ち去ろうと背を向ければ、二の腕を思いっきり引かれてバランスを崩す。
私の体は一直線に実弥さんの胸元へとぶつかった。
「…これで満足かィ…」
ぎゅ、と強めに抱きしめられて心臓の音が伝わっちゃいそうになった。
『はい…』
すぅ、と鼻から息を吸えば実弥さんの香り。
そこから連想する先程の熱を帯びた視線。
途端に暑くなる体に戸惑って無理やり実弥さんから離れた。
『あ、ありがとうございました、さよなら!』
これ以上くっついていたらおかしくなりそう。
突然離れて立ち去るというとんでもない自己中を発揮して自宅へ駆け込んだ。
「あ、オイ!……んだよ…」
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パチ麻呂(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます!近いうちに続編公開致します、もう少しお待ち頂ければ幸いです! (2020年7月5日 0時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - とっても面白かったです。続きも楽しみです! (2020年7月4日 20時) (レス) id: 7a18dbf6fa (このIDを非表示/違反報告)
パチ麻呂(プロフ) - あさこさん» コメントありがとうございます!次の章まで時間が空いてしまうかもしれませんが、幸せな2人がかけるように準備頑張りますので、楽しみに待っていてください(;_;) (2020年7月2日 5時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
あさこ(プロフ) - 毎回更新楽しみにしています!!優しい実弥さんも夢主さんも絶対に幸せになってほしい(*´∀`*) (2020年7月2日 3時) (レス) id: 81f776d056 (このIDを非表示/違反報告)
パチ麻呂(プロフ) - ぽんちゃんさん» 夢主ちゃんの家庭ならありそうですけど、実弥さんはしっかり自立した成人男性ねさであり、きっと親からも信頼されているので、ないんじゃないかな!と解釈しております! (2020年6月27日 4時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
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