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ニコニコしながらハンバーグを頬張るA。

『おいしいです!』

「そりゃよかった」

先月寿美に連れて行けとせがまれたカフェ。ディナーニューが有名らしく、喜んでくれた。
目の前でAが飯を食ってる事実だけでも感動モンだが、こんなことで一喜一憂している余裕はない。

『ハンバーグ久しぶりに食べました』

「この前寿美と作ったな」

『実弥さん、料理得意なんですか?』

「まァ、一人暮らしだからな。人並みに」

『実弥さんの手料理食べてみたい!来週お家行ってもいいですか?!』

は??

今どきの女子高生はこうも無防備なもんか?
1人でそのへんの男の家に乗り込んでみろ。
一瞬で食われるぞ…。

「…アホ、男の家にノコノコ来るやつがいるか」

『あ、そうですよね…』

みるからにションボリするから胸が痛い。
その顔はやめてくれ、弱い。

「あーー、実家ならいいけどよ」

渋々出した解決策。玄弥にも会わせてやりたいからな。

『…寿美にどんな顔して会おう…』

そこだ。
妹の親友をいきなり連れて帰ってみろ。
思春期の寿美からすりゃだいぶハードだろ。

いや、でも俺はいずれかコイツとは家族に紹介できるような関係になりたい。
別に隠したい訳でもないが、まだ恋人ですらない名前のない関係の俺たちだ。

「…分かった、俺の家でいい。けど飯食ったらすぐ帰る、約束しろ」

『はい!約束します!』

嬉しそうに笑ったAはもう一口ハンバーグを口に放り込んだ。

『来週の日曜、楽しみにしてますね』

「オウ」

ああ、ほんとに俺はこいつにはめっぽう弱い。
しばらく見つめていれば、ひとくち分に切り分けたハンバーグを差し出してきた。

『どーぞ?』

「あ?」

『いや、じっと見てるから…たべたいのかと』

固まる俺に対して次第に小さくなるAの肩。

「ちげぇけど、頂くわ」

『わっ』

細い手首を引き寄せて、皿に戻されそうになったそれを口にした。

「うめぇ」

『あは、なんか、恋人みた…なんでもないです』

さっきまでの無邪気さは一体どこへ行ったのやら。
急にしおらしくなりやがって。

まあでも、ほんのり赤くなってるAもおもしれぇからいいけどな。
俺は手元のクリームパスタを1口サイズに巻いてAの顔の前に差し出した。

「ホラ、俺のも食うか?
恋 人 み た い に」

わざと“恋人みたい”を強調してみせれば耳まで真っ赤にした。






『……いじわる』





「ッ…!」

ああ、クソ


可愛すぎんだろ。

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パチ麻呂(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます!近いうちに続編公開致します、もう少しお待ち頂ければ幸いです! (2020年7月5日 0時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - とっても面白かったです。続きも楽しみです! (2020年7月4日 20時) (レス) id: 7a18dbf6fa (このIDを非表示/違反報告)
パチ麻呂(プロフ) - あさこさん» コメントありがとうございます!次の章まで時間が空いてしまうかもしれませんが、幸せな2人がかけるように準備頑張りますので、楽しみに待っていてください(;_;) (2020年7月2日 5時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
あさこ(プロフ) - 毎回更新楽しみにしています!!優しい実弥さんも夢主さんも絶対に幸せになってほしい(*´∀`*) (2020年7月2日 3時) (レス) id: 81f776d056 (このIDを非表示/違反報告)
パチ麻呂(プロフ) - ぽんちゃんさん» 夢主ちゃんの家庭ならありそうですけど、実弥さんはしっかり自立した成人男性ねさであり、きっと親からも信頼されているので、ないんじゃないかな!と解釈しております! (2020年6月27日 4時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:パチ麻呂 | 作者ホームページ:ないです〜  
作成日時:2020年6月3日 5時

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