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百六話 ページ7

宇髄さんたちと別れて、2人で並んで歩く帰り道

射的で取った風車をくるくる回してみる。
その逆の手はしっかりと握られていた。



『すごかったねー、花火!あんなに大きな花火見たの初めてだよ』

「俺も初めてだったな」

『小さい時に見たのはもっと控えめだったよね、覚えてる?町内会のやつ』

「あーー、うっすら覚えてんなァ」

『もう一回見たい、早く来年にならないかなー』

「クク、気が早ェよ」


ちょうど分かれ道に差し掛かった。
私と家に帰るなら右、実弥の家なら左。

そこでじっと動かず、俯いた実弥。
「どうしたの?」と言おうとしたら、実弥の低い声が聞こえた

「なァ」

『ん?』

「泊まってけよ、今日」

『うん』

「今日は返したくねェ…」

『わ、私も帰りたくない…』

「ん」

私の言葉を聞いて、少し口角を上げた実弥に手を引かれて左に曲がった。


しばらく歩けば、風柱邸に着く。
もう幾度となく訪れているここ。

『ただいま帰りましたー…あ、』

ツイ癖で自分の屋敷に帰った時に言う台詞を吐いてしまった。

「ククク、あァおかえりィ」

『へへ、恥ずかしい…』

笑って誤魔化してみる

「適当に座ってろォ」

『ん、ありがと』

そう促され、2人でよく座る縁側に腰かけた。




しばらくして実弥はお盆を持ってやってきた。

お盆の上にはお猪口が2つ。


「今日くらいいいだろ」

『私あんまり得意じゃないけど、そうだね。今日こそ飲みたいよね』


透明な日本酒を慣れた手つきで注いで渡してくれた。

「…うめぇな」

『私にはまだ大人の味かな』

口に含めばツンと鼻の奥を刺激するような独特な風味と香り。

17の頃宇髄さんにふざけて飲まされて気持ち悪くなった過去があるから、普段からあまり好んで飲まない。
実弥も任務があるから今日みたいに進んで飲むのは珍しい。

庭をぼうっと眺めていたら、実弥が口を開いた

「口実だ」

『え?』

「今日のAを、目に焼き付けておこうと思ってよォ。だから飲んでる」

『今日の私?』

「あァ、ちゃんと言えてなかったな」

後ろに手をついて、くつろいでいた実弥はしっかりと座り直して私の目を見た。


「今日のAは、本当に綺麗だ。何度も見とれちまった」


ほんのり赤くなっている顔と優しい笑顔。
きっと、お酒がまわっているんだ。

いつにも増して甘い雰囲気を醸し出す実弥にドギマギしてしまう。

『ありがとう、頑張ってよかった』

私がそう言うと実弥はクイッとお酒を飲みほした。

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パチ麻呂(プロフ) - snowさん» コメントありがとうございます。最後の部分は個人的にこだわっていたシーンなので嬉しいです!続編の方も楽しんで頂けたら嬉しいです! (2020年11月8日 16時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
snow - パチ麻呂様!とりあえずお疲れ様でございました!もうすごく感動的というか、画面の前で号泣してしまいました。ありがとうございました。高評価して、続編に飛んでいきます!これからも応援してます! (2020年10月28日 22時) (レス) id: 6289ae6079 (このIDを非表示/違反報告)
みーさ(プロフ) - お返事ありがとうございます!性癖っていうんですかw続編も見させて頂いてます!これからもよろしくお願いします(*'ω') (2020年6月22日 21時) (レス) id: 02b4f910b1 (このIDを非表示/違反報告)
パチ麻呂(プロフ) - みーささん» うわわ(;_;) すっごく嬉しいです、、!こういうオチが性癖なので受け入れていただけるのは本当にありがたいです(( 続編でも当作品よろしくお願い致します! (2020年6月16日 1時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
みーさ(プロフ) - コメント失礼します。どストライクな作品でもう号泣しました(TT)ありがとうございました!! (2020年6月15日 21時) (レス) id: 02b4f910b1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:パチ麻呂 | 作者ホームページ:ないです〜  
作成日時:2020年5月4日 0時

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