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百四十五話 ページ46

無惨との闘いは、
上弦の壱との闘いを超える激しさだった。
何度も飛びそうになった意識を必死に繋ぎとめて刀を振るい続けた。

限界などとっくに超えていた体を無理やり動かした。
恐らく失血死まであと一歩だ。



夜明けを迎えて無惨の本体は塵となって消えた。

朦朧とする意識で見た横たわる隊士の亡骸に涙が出そうになる。
炭治郎くん達は、無事だ。

傍で喜びに湧くみんなを横目に終ぞ倒れた。


『はぁ、はぁっ…』


もう腕や足がついているかも分からない
腹の傷は開いたし、背中は無惨に深く切られた。
もう上手く痛みを感じない。

冷えていく身体がもうすぐやってくる死を知らせる


「A様…!」

見たことないくらい焦った宮里さんが駆け寄ってくる。

『…無事でしたか』

「A様、ああ、今治療を!」

『実弥のところへ…連れて行ってくれませんか?』

「ええ、もちろん!」

数人の隠に支えられて、眠る実弥の横に寝かされた。

『ああ、無事でよかった…』

グチャグチャに潰された手で実弥の頬を撫でると、彼の包帯に血の跡が残った。

『実弥、実弥…うっ、ごめんね』

きっと今の顔は酷いだろう。
血と涙でぐしゃぐしゃだ。

『置いていってしまうことを、どうか許してね』

力を振り絞って顔を寄せる

『世界一、愛してる』

眠る実弥に唇を落とす。

「うぅ、A様…」

『宮里さん、身体が冷たくなって、感覚がもうないんです』

「ダメです、諦めないでください…!」

『私の遺書は、自室の机に置いてきました。それを遺された者へ、お願いします』

「っ、はい」

『こんな私に尽くしてくださり、ありがとうございました』

冷たくなった私の手をとって、泣き崩れた宮里さん。

「あああ、こんな、こんな私を傍に置いて頂き、ありがとうございます…!」

『宮里さんと離れるのは寂しいなぁ』

「A様…来世も、貴女にお仕えしてもよろしいですか?」

よかった、大好きな、柔らかい宮里さんの笑顔だ。

『ふふ、もち…ろんです』

「じゃあ、来世で会えるのですね。しばらく離れ離れですが…きっとまた会えるのですね」

ああ、呼吸が辛くなってきた。

『ふっ、うぅ…絶対会いましょうね…!』


来世は、あなたとお友達になりたいなぁ。


なんて口には出さずに、ただ死を待とうとした。



「A…?」



ああ、後ろ髪ひかれるような思いだ。




なんで目覚めちゃうの。







私ね


あなたの顔をみたら、死ぬに死ねないよ。









実弥。

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パチ麻呂(プロフ) - snowさん» コメントありがとうございます。最後の部分は個人的にこだわっていたシーンなので嬉しいです!続編の方も楽しんで頂けたら嬉しいです! (2020年11月8日 16時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
snow - パチ麻呂様!とりあえずお疲れ様でございました!もうすごく感動的というか、画面の前で号泣してしまいました。ありがとうございました。高評価して、続編に飛んでいきます!これからも応援してます! (2020年10月28日 22時) (レス) id: 6289ae6079 (このIDを非表示/違反報告)
みーさ(プロフ) - お返事ありがとうございます!性癖っていうんですかw続編も見させて頂いてます!これからもよろしくお願いします(*'ω') (2020年6月22日 21時) (レス) id: 02b4f910b1 (このIDを非表示/違反報告)
パチ麻呂(プロフ) - みーささん» うわわ(;_;) すっごく嬉しいです、、!こういうオチが性癖なので受け入れていただけるのは本当にありがたいです(( 続編でも当作品よろしくお願い致します! (2020年6月16日 1時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
みーさ(プロフ) - コメント失礼します。どストライクな作品でもう号泣しました(TT)ありがとうございました!! (2020年6月15日 21時) (レス) id: 02b4f910b1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:パチ麻呂 | 作者ホームページ:ないです〜  
作成日時:2020年5月4日 0時

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