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百四十二話 ページ43

さすが上弦の壱。
極限の集中力と、乱発する呼吸のおかげでキツくなる
不規則な攻撃を捌くのに必死でなかなか反撃にでれないもどかしさ。


『ゴフッ』

獅子の呼吸の副作用、吐血だ。
集中のしすぎで気が付かなかった、体が気持ちに置いていかれていたようだ。
チラリと実弥の様子を伺えば鼻血が出ている。
あの実弥でもこうなるのか。
ほんの少しでも気を抜いた瞬間に切り刻まれてしまう。

黒死牟「月の呼吸_陸の型_常夜孤月・無間」


まずい


『ッ?!』

直感で分かった、これは避けられない。
全身に力を込めて急所を刀で守って攻撃を受けた。


『ハッ、ハッ、ハッ…』

「フゥッ、A、フゥッ、生きてるかァ」

『何とかね…ッ』

脇腹と肩を深く斬られ、止まらない脂汗。
実弥は胴を大きく斬られたようだ。

ということは、幸か不幸か切り札が使える。

「猫には木天蓼、鬼には稀血…」

ユラユラと鬼へ向かう実弥。ここで畳み掛ける。

千鳥足になる上弦の壱への猛攻は止められない。痛みなど気にしていられない。

「Aッ!行けェ!」

『分かってる!!!』

高く飛び上がり上からの攻撃を仕掛け、下から斬りあげる実弥の攻撃。

黒死牟の片腕を切り落としても気色悪い程の速さで再生する。

『そう簡単にはいかないよね』

「ハッ、違いねェ」



決め手にかける交戦が焦れったい。


しばらくの間お互い一歩も引かずの戦況。
悲鳴嶼さんも加わり、ようやく反撃にもでれるようになった。

悲鳴嶼「A、不死川、腹の傷を今すぐ縫え、その間は私が引き受ける」

止血に呼吸を用いる余裕がなかった私と実弥を感じた悲鳴嶼さんは一度退くように言った。けれどここで退く気にはなれない。

『ッまだやれます!!』

叫ぶように抗議する私を実弥が制した。

「落ち着け、行くぞォ」

『だって、』

「いいから来い!」

無理やり抱えられて物陰に隠れた。

『フーッ、フーッ、フーッ』

「落ち着け、殺気立ちすぎだ」

バクバクと鳴る心拍音、焼けるように熱い。
痣の力がこれまでにないほど発揮されている。

自分でも分かるほどの興奮状態。
瞳孔は開ききってるだろうし、上弦の伍にやられたせいでガチガチと震える口元。

今の私はまるで鬼だ。


「A、こっちみろ」

『んっ…!』

言葉通り顔をあげた途端、唇を奪われた。
こんな状況でされるなんて思ってもいなかったから、思考が見事に停止して落ち着きを取り戻した。

『…ごめん、落ち着いた』

「ならよかったァ」

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パチ麻呂(プロフ) - snowさん» コメントありがとうございます。最後の部分は個人的にこだわっていたシーンなので嬉しいです!続編の方も楽しんで頂けたら嬉しいです! (2020年11月8日 16時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
snow - パチ麻呂様!とりあえずお疲れ様でございました!もうすごく感動的というか、画面の前で号泣してしまいました。ありがとうございました。高評価して、続編に飛んでいきます!これからも応援してます! (2020年10月28日 22時) (レス) id: 6289ae6079 (このIDを非表示/違反報告)
みーさ(プロフ) - お返事ありがとうございます!性癖っていうんですかw続編も見させて頂いてます!これからもよろしくお願いします(*'ω') (2020年6月22日 21時) (レス) id: 02b4f910b1 (このIDを非表示/違反報告)
パチ麻呂(プロフ) - みーささん» うわわ(;_;) すっごく嬉しいです、、!こういうオチが性癖なので受け入れていただけるのは本当にありがたいです(( 続編でも当作品よろしくお願い致します! (2020年6月16日 1時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
みーさ(プロフ) - コメント失礼します。どストライクな作品でもう号泣しました(TT)ありがとうございました!! (2020年6月15日 21時) (レス) id: 02b4f910b1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:パチ麻呂 | 作者ホームページ:ないです〜  
作成日時:2020年5月4日 0時

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