獅 子 奮 迅 3【不死川実弥】

百二十七話 ページ28

鬼の気配を感じてほんの数秒。
鬼の攻撃をもろに受けた。

「ぅわ！？」

大きな音とともに、踏んでいた屋根の瓦が一部崩れた。
攻撃は刀で弾いたけれど、衝撃がすごい。
翻った羽織がそれを物語る。

『怪我は！？』

「ないけどよ！なんなんだよ！？」

『こっちへ！』

取り乱す留吉さんの腕を引いて屋根の上を走って逃げる。
こんなところで技を出したらこの宿ごと吹き飛ばしてしまう。
分が悪い、逃げるが勝ちだ。

鬼「若者が二人…うまそうだぁ！！」

『くそ…！』

男の人の姿こそしているけれど、伸びた牙や爪、見開かれた瞳孔。
間違いない、コイツは鬼だ。


分が悪いと判断した私は留吉さんを無理やり肩に担いで屋根から屋根へと飛び移って距離をとる。

「アンタ何モンだよ！？」

『…鬼殺隊獅子柱です…暴れたら落としますよ』

「いやわっかんねぇ！！！」

鬼「逃げても無駄だぞ鬼狩りの嬢ちゃん！」

剥がれた瓦を投げられながら後を追われる。

「うわぁあ！危ないだろ！」

瓦を上手く弾かないと一般家屋に被害がでる。
留吉さんを担いで足場の悪い屋根を飛び回ってたら本来の力は出ない。
はやく広い平地へ…！

「俺はいい！アンタ強いんだろ！」

『…ここから近い開けた地はどこですか？』

「左だ！左に向かえば広い道がある！」

『ありがと、舌噛み切らないように！』

「うぉ！はえ」

鬼「待ちやがれ！」

私の速度についてくるなんてなかなか。

「あそこだ！そこなら戦えるだろ！」

留吉さんが指さす先は川沿いの広い道。

『十分です！歯食いしばって』

「ぐぉ？！」

屋根から飛び降り、肩に担いでいた留吉さんを乱暴に下ろして(痛がってた)刀を構えた。

『獅子の呼吸＿＿陸の型』

“獅子頭”

低い重心から刀を振り上げると同時に屋根から飛び降りた鬼。
停止した状態から繰り出す陸の型の攻撃力は獅子の呼吸随一。

『っドンピシャ！』

あえて頸は狙わず腰から肩に掛けた斜めに体を両断した

鬼「っヴ！！」

すぐに再生しようと身をよじらせる鬼の頭を踏みつけ、首元に刀を押し付けた。

『抵抗してみろ、今すぐ塵にしてやるから』

再生速度の遅さから、そこまでの強さではない。

『最近ここらで人をさらっていたのはお前か』

鬼「はっ、だったらなんだ。姉様にお前は勝てないからな」

『姉様…？』

新たなる鬼の存在に顔をしかめた。

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