百十話 ページ11
.
『私と何人かの隊士をつれて山に入ります。人里が近いから、少数部隊をいくつか形成して山の周りで待機を。鬼をとり逃さないように気を引きしめるように、と各部隊に伝えてください』
「承知しました」
複数の鬼が山に籠るとの情報を得た私たちは、ある山に来ていた。
麓で作戦を煉り、これからの襲撃に備えた。
「見ろ、獅子柱様だ。あの上弦の参を倒したそうだぞ」
「私見たよ、あの刀捌き、同じ人間だと思えなかった」
「それに加えてあの美貌だろ…てか、顔にあんな痣あったか?」
「ほんとだ、初めて見た…」
(全部聞こえてますよー)
なんて言えずに突入の準備をしていれば、聞きなれた声が聞こえた
「Aさん!」
『玄弥!』
「っス」
お決まりの挨拶を交わせば、玄弥がこちらへやってきた。
『同じ任務だったんだね、よろしく』
「はい、お願いします」
『玄弥は私と同じ部隊で。前みたいに援護射撃お願い』
「っはい!」
『私、左目の視界がボヤけてるの。そっちが疎かになりがちだからよろしくね』
「任してください!」
__
_____
________
山に入り、鬼を何体か斬り続けていると一体だけ明らかに違う気配の鬼に出くわした。
『玄弥、援護よろしく。アイツが多分今回の元凶だと思う』
「分かりました」
目の前に立ちはだかるもはや人の形を成していない、大きな体の鬼。
硬そうな皮で覆われた首。
『獅子の呼吸____壱の型』
“獅子奮迅”
腕のような、触手のような、長く伸びたそれに攻撃を弾かれる。
『これは長丁場になりそう…。玄弥気持ち切らさないでいこ』
「はい、って、Aさん危ない!」
『っ?!』
しまった、鬼から伸びた触手に足をとられた。
地面を引きずられ、投げられそうになる。
「Aさん!9時の方向に身体を!」
『っく!』
言われたとおりにすれば、銃声が響いた。
次の瞬間、触手はちぎれて私の体は宙に投げ出される
やばい、受け身とらなきゃ
『っ、あれ痛くない』
玄弥が私のことを抱きとめてくれた。
「怪我ないっすか?」
私を見るその目が、実弥と重なって見えた。
ありがとう玄弥、力が沸くよ。
『うん、ありがとう助かった!』
ボケッとしている暇はない、また新たに伸びた触手を切り捨てて鬼の本体へ走る。
『私が触手を斬る!玄弥は銃で頸を撃って!皮を弱らせる!』
「ハイッ!」
423人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
パチ麻呂(プロフ) - snowさん» コメントありがとうございます。最後の部分は個人的にこだわっていたシーンなので嬉しいです!続編の方も楽しんで頂けたら嬉しいです! (2020年11月8日 16時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
snow - パチ麻呂様!とりあえずお疲れ様でございました!もうすごく感動的というか、画面の前で号泣してしまいました。ありがとうございました。高評価して、続編に飛んでいきます!これからも応援してます! (2020年10月28日 22時) (レス) id: 6289ae6079 (このIDを非表示/違反報告)
みーさ(プロフ) - お返事ありがとうございます!性癖っていうんですかw続編も見させて頂いてます!これからもよろしくお願いします(*'ω') (2020年6月22日 21時) (レス) id: 02b4f910b1 (このIDを非表示/違反報告)
パチ麻呂(プロフ) - みーささん» うわわ(;_;) すっごく嬉しいです、、!こういうオチが性癖なので受け入れていただけるのは本当にありがたいです(( 続編でも当作品よろしくお願い致します! (2020年6月16日 1時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
みーさ(プロフ) - コメント失礼します。どストライクな作品でもう号泣しました(TT)ありがとうございました!! (2020年6月15日 21時) (レス) id: 02b4f910b1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ