知 ら な い フ リ ３ 【不死川実弥】

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ある日の放課後



「じゃあアタシ帰るから、お疲れ」

『またあしたねー』



HRも終えてザワつく教室で梅を見送り、私も部活に行こうと廊下に出たところで

「お、ちょうどいい。これ運んでくれないか？」

担任に捕まった。

『はぁ…って、重！』

さっき集めたノートの束。
ズシッと腕に乗せられて思わずふらついた。

「職員室横の準備室に置いといてくれ！」

『もー、わかりましたぁー』

雑に返事はするけど、普段お世話になってるし不良と思われてる梅を気にかけてくれてるいい先生だから嫌いじゃない。

大人しく重たいノートを持って準備室に向かうことにする。


『…うわぁ』


肩にかけていたスクバがズルズルと落ちてきて歩きにくい。

どこにもノート置けないしもちろん両手は塞がってる訳で為す術もないので立ち尽くす。


どうしたもんか…と考えていると


「Aちゃん！」

『うぉ、佐伯くん…！君どこにでも現れるね…！』


もうこの登場にも驚かなくなった気がする。
制服じゃなくてサッカー部の練習着を着ているから、これから部活なんだろうな。


「はは、Aちゃんが困ってる気がして！」


そう言って爽やかな笑顔を浮かべて私からノートを奪い「どこまで持ってく？」と言った。


『あ！…いいよ、部活遅れちゃうでしょ』


「いーの！」


白い歯を出してはにかむ笑顔が眩しい…！


さすがに私だって丸投げするほど性根が腐ってる訳じゃない。
スクバを背負い直して半分ノートを取り返した。


『準備室までお願いしゃす』


「かしこまりー」


『ありがとよー』


「おー」


実弥より背も低いし体も細い。

性格も話し方もちょっとゆるゆるしてて…



『…さては…佐伯くんは玄弥タイプか…？』

「ん？」

『いや、こっちの話』



実弥以外の男の子とここまで仲良くなるのも珍しい。


その理由はきっと玄弥っぽいからな気がする。

玄弥を100倍爽やかにしてジャニーズっぽくしたら佐伯くんが完成する。うん、我ながら納得。


「Aちゃんさ…好きなタイプどんな人？」

『MUZAN様一択ですね！』

「まじ？不死川と全然違うね」

『私だってびっくりだよ』

「あはは」



『……でも、1ミリもタイプじゃないけど好きなんだぁ、ぜんぶ』



「…そっかぁ」




それから特に中身もない話をして準備室にノートを置いて佐伯くんは走って部活に向かっていった。


『ぅあっ、私も部活遅れる…！』


ドタバタと廊下を駆け抜けた。

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