知 ら な い フ リ ３ 【不死川実弥】

秘密の特訓 ページ8

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距離は置くと言ったものの学校も同じで家が隣の幼なじみ。

情報なんていくらでも入ってくるわけで…


実弥が練習試合で死ぬほど点入れたとか
模試で校内2位だったとか
後輩にファンクラブ出来てるとか
男バスマネが実弥のこと狙ってるとか


まぁ最後のふたつはこちとら慣れっこだ。

伊達にこの歳まで幼なじみやってない。
今まで実弥がどれだけモテるか見てきたんだから。(実際当時は興味なかったから最近思い返して実感してる)



…まぁ、ちょっとマネージャーに狙われてるって噂は気になるけどさ…。



とりあえず問題は上二つ。

なに死ぬほど点入れてるって。

めちゃくちゃエースらしい。

ストイックな練習が身を結んでいるようで私も誇らしいよ。
たまに昼休み中庭でウズイくんたちとバスケしてるとこ見るけど、また身体大きくなってた気がする。

それに並行して一生懸命やってた勉強も目に見えた結果が残せているみたいでなにより。




『……私なんもしてないじゃん…っ！』




ガバ、と頭を抱える昼休み。



またか、と言わんばかりの顔で私をチラ見した梅は小さなお弁当箱に視線を戻した。



「どーせ不死川と釣り合ってないとかでしょー」

『ご名答』

「最近痩せたし、メイクも髪もちゃんとしてるじゃない」

『それだけじゃん？！』

「それにアンタも部活でセンターに抜擢されたとか言ってなかった？」

『まぁそうなですけども…実弥と比べたら全然…』

「じゃあ特技でも伸ばせばいいじゃない」

『…それだ！』



思い立ったが吉日。

その日の夜早速実践に移した。




題して、実弥にお弁当作ろう大作戦！！！！



これなら私の成長にもなるし、単にベタベタして過ごす日常にはカウントされないず！

実弥がよく褒めてくれる手料理を振る舞うためにこっそり料理の練習を始めたのだけれど…


まぁそう簡単には上手くいかない。



得意とは言ってもミスはするし、お弁当に使えるおかずの種類って案外限られてるし…

実弥みたいな身体作ってる人には栄養とって欲しいからまずらそこの勉強とか…



思ったよりやること沢山。



『俄然やる気でんじゃん』



本屋さんで料理本を探したり、スーパーで食材見て回ったり


案外一人の時間をうまく使えている気がする。


おかげで寂しいとかそんな気持ちに苛まれずにうまく日常を送れるようになってきた。




買ったばかりの料理本を抱えて、うふ、と笑いをこぼしたある夜の帰り道の話。

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