知 ら な い フ リ ３ 【不死川実弥】

不 死 川 家 ページ47

昨日は目玉焼きだったし、今日はだし巻き玉子にしよう。

えーっと…実弥は甘い派だから…



「ママ！また弘がイタズラしたぁ〜！」


「ちがうよ！貞子がさぁ！」


『……うるさぁい！！さっさと支度しないと遅刻するよ！！』



とある夏の日の朝。
日当たりのいいリビングを子供たちが駆け回る声が騒がしい。


パジャマ姿でいつまでもじゃれ合う娘と息子に雷を落とせばそっくりな顔で縮こまる。



「ママ〜、就也が泣いてるぅ」

『わわ、貞子ありがとうね。パパー！就也見てくれるー？！』



卵焼きから手を離せない私は大きな声で“パパ”を呼んだ。




「オイオイ、うちは問題児が多いな、誰に似たんだかァ」




貞子、弘、就也のかわいい3人の子供に恵まれた不死川家の朝。




『パパだと思いまーす』

「クク、よく言うぜうちのママはよォ」

『余計なこと言ったら引っぱたくよ』

「怖ェなァ〜。な、就也」

「あぶ」

『そんなことないでちゅよねぇ〜』




「パパママ、イチャイチャしてないでいただきますしよー」

「お味噌汁ブクブクしてる〜」

『ああ〜、弘お鍋触っちゃダメよ！』

「はぁい。あ、貞子まだいただきますしてないよ！」




『も〜！うちの子たちは騒がしいんだから！！』




私は今、3人のかわいい子供のママをしていて




「うちの嫁さんも騒がしいもんだァ」




口うるさい旦那さんと夫婦になった。





『うるさいなぁ！はい、座ってー。せーの、いただきまーす』



みんなで大きなテーブルを囲んでいただきますをするこの瞬間が私の小さな幸せ。



『みんな、今日パパとママ夜居ないからね。変わりに玄弥おじちゃん来るからいい子にするんだよー』



「「はぁーい」」


「なんでパパとママいないの？」


「今日はケッコンキネンビ、ってやつだァ」


「なにそれー」


「パパがママにずっと大好きだよって言った日ィ」


「ボクもママずっとだいすきー！」

「私も！」


『はぁ〜、天使かな〜？！』



この日々を幸せと呼ばず何と呼ぶのか。






『ママもみんな大好き！』





「俺はァ？」




小声でイタズラっぽく聞いてくる貴方が愛しくて



『言わなくても分かるでしょ』



「分かんねぇから、今夜教えて貰おうかねェ？」



『ちょ…、4人目は勘弁してよね…』



「どうだかねェ…？」




その翌年、双子の子供を迎えて7人家族になったのはまだ少し先のおはなし。

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