知 ら な い フ リ ３ 【不死川実弥】

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あれから時間が流れた。




俺たちバスケ部の全国大会は2回戦まで進んだものの、去年の優勝校とトーナメントで当たり残念ながら敗退。

俺たちは間違いなく全力だったし、これ以上の結果はない、と清々しい気持ちでいた。



Aはもちろん全試合応援に来ていて、俺より泣いていた。


『実弥が泣かないから私が泣いてんの！』と怒りながら泣きじゃくった。

そんなに泣かれたらもう十分だよ。


形は違えど俺と一緒に戦ってくれたかけがえのない存在。


「ほんと、ありがとな」と撫でると、もっと泣いた。


何度も言うけど、彼女がAで本当によかったと思った。


風の噂だと金谷は佐伯に振られたらしい。

佐伯がAに惚れていることに嫉妬して、俺とAの関係をかき乱そうとしたらしい。
まんまとすれ違っちまったことは悔しいが、もう終わったことを掘り返すのはやめだ。Aが怒る。




そして、夏休みは今までを取り戻すかのように2人で過ごした。

とは言っても受験生だから特にイベントもなく、部屋にこもってもくもくと勉強をするばかり。

時たまAは友達と遊んだり、謝花の家に泊まりに行ったり。
俺も時々部活に顔を出して身体を動かしたり。


なんてしてるうちに夏が終わった。






俺達が付き合って1年が経った。



なんとなく一緒にいる時間が長いせいで記念日という実感がなかったが、2人で有名な観光地の海に行った。

テンション上がった俺らはペアリングなんて恥ずかしいもん作ったが冷静になると付けるタイミングなんかない。
でも、部屋の1番目立つとこには飾ろうと思う。



秋、Aは俺と同じ学校に受験すると言い出した。


無理ではないが簡単ではない。


でも、Aが同じ大学なんてこれ程嬉しいことはない。

より一層2人で勉強に取り組んだ。

謝花が引くほど。


気がついたらクリスマス。


今日くらいは、と有名なイルミネーション見に行ったがAが『寒い』と喚くからすぐカフェに入っていつものようにダラダラと喋ってばかりだった。

まぁ俺ららしいっちゃらしいけど。


それから追い込むように勉強の日々。

口ではダラダラ文句言うけど、まあまあ飲み込みのいいAは無事合格圏内にまで。


毎日MUZAN様のポスターに合格祈願の土下座をしている姿を見てはため息を零していた。アホらしい。

そんな事しなくても、俺が受からせんのによ。


Aの髪は随分と伸びて、白い雪によく映えた。


明日は受験当日だ。

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