拍子抜け ページ39
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「つーわけで、俺達卒業したらここ出てくわァ」
『ウマイ』
モゴモゴと口に唐揚げを突っ込むAを横目に俺はお袋とAの母ちゃんと玄弥に宣言した。
「つ、つーわけでってなんだよ!?」
斜め前に座る玄弥が立ち上がる。
母親たちは目を丸くして箸をとめた。
が、すぐになんともないような顔をして箸を動かす。
「別にいいわよ」
「なんとなくそんな気はしてたからねぇ」
「反対する理由も特にないかなぁ」
「そうね」
そこまで反応薄いとそれはそれで気になるがいいとしよう。
と思っていたら、俺のお袋が箸を置いて、真面目な顔をした。
「Aちゃんはこんなバカ息子と二人暮しでいいの?」
俺たちの今までの距離感をなんとなく察していた親としての真っ当な意見だろう。
今日までAに苦労をかけたんだ、当たり前だよな。口を挟まずにAの言葉を待った。
『ん?うん、いいよ。実弥だもん』
「…軽いなオイ」
『終わったことネチネチすんのダルいし。それに私も卒業してから離れるの嫌だ。そばに居たい』
話すことより食べることに夢中なのか今度は煮物を頬張る。
一応俺の【全国出場おめでとうパーティー!】だというのに全てを食い尽くされそうになる。
豪華な食卓を前にずっと目をキラキラさせて、箸が止まらない様子。まぁ、いいか。
「Aちゃんダイエットしてるって言ってなかったっけ…」
『だってもう仲直りしたからダイエットしなくていっかなって思って。げんげん食べないならそれちょーだい』
「あああ!!俺の肉!!!」
「オイ意地汚ェぞ、ほら玄弥俺のやるから…」
そんな俺たちのやり取りをみて笑うお袋達。
久しぶりに家族同士で食卓を囲めて、AがAらしくいられて
「……なんか、いいな。こういうの」
何気なく呟いた言葉。
「あ、孫の顔はまだ見たくないからね」
「学生結婚は認めないわよ〜」
「俺もまだおじさんにはなりたくないかなぁ」
「わぁってるよ!!!」
『うまーーい!』
こういう母親たちの小言はいらねぇけど。
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パチ麻呂(プロフ) - ナオピーさん» 読み返し…ありがとうございます🥺🥺このお話は高校生の2人、をメインにしたかったので未来の2人はこういったオマケの形で残させていただきました。また暇を持て余した時に読み返しに来てくださいね! (2021年12月6日 23時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
ナオピー(プロフ) - パチ麻呂さん、お疲れ様です。もう終わってしまって寂しさに何度も読み返していたところに、プロポーズ編がー!かけがえのない人生のパートナーとして幸せに過ごしてほしい二人です。素敵なお話を本当にありがとうございました! (2021年12月4日 16時) (レス) @page45 id: b5b3320d19 (このIDを非表示/違反報告)
パチ麻呂(プロフ) - 澪凪さん» 澪凪さん、最後まで読んでいただきありがとうございました🙇♀️ドキドキとキュンとは無関係な生活の私ですが、こうやって誰かに届けられたということが本当に嬉しいのです。次回作でもお会いしたいので是非待っていてくださいね🥰 (2021年12月3日 22時) (レス) id: 37af621f88 (このIDを非表示/違反報告)
パチ麻呂(プロフ) - ほりでぃすくさん» ほりでぃすくさん、ありがとうございました😿ハラハラ要素多くしすぎたかな、、って不安でしたが読み応えがあると言っていただけたなら救われます。嬉しいです。この作品を見つけていただき、ありがとうございました。また機会がございましたら是非!! (2021年12月3日 22時) (レス) id: 37af621f88 (このIDを非表示/違反報告)
パチ麻呂(プロフ) - えむえむさん» えむえむさん、、ありがとうごいまざいます🥺遅い更新で読みにくい部分もあったかもしれません、それもでこの作品を見捨てないで頂けただけで嬉しいです。また次回作で新たなキュンキュンをお届けできるように妄想捗らせておきますね〜!! (2021年12月3日 22時) (レス) id: 37af621f88 (このIDを非表示/違反報告)
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