知 ら な い フ リ ３ 【不死川実弥】

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暗い部屋、何件も連なる謝罪の連絡から逃げたくてスマホの電源を落とした。


コルクボードは見たくないからクローゼットに押し込んだ。




ネズミのぬいぐるみだけ離せずに、抱きしめてベッドで目を閉じていた。







夜ご飯も食べずに部屋にこもっていると、お母さんとは違う足音が部屋に迫ってくる。


一気に吹き出る冷や汗。

『…ヤダ』

ぎゅ、とぬいぐるみを抱きしめて部屋の隅に縮こまっていれば、控えめなノックが聞こえた。





「…A」


しんどそうな声。


「聞いて欲しい」


なにも聞きたくない


「まずは、ごめん」


いや


「ごめん、本当に」


いやだ


「言い訳に聞こえるかもしれねェけど聞いて欲しい」


いやだってば。


「金谷とはなんもないんだ、本当に何も無い。言い寄られても退けた。嘘じゃないって誓える」


嘘。


「…俺、もうAの彼氏でいる資格はないと思ってる」

…そうだよ


「俺のことなんて捨てていいから、それでもいいから」


そうするよ。


「…っ……幸せでいて欲しい」



『…ッ』



「Aが笑ってくれるならなんでも出来るんだ」



じわ、と揺らぐ視界。



「しんどい時、思い出すのは…間違いなくAのことだ」




「そんなAを泣かせるのは…いつも俺で…情けねェよ」




「…………ほんと、ゴメンな。泣かせないって何度も誓って、何度も破ってさァ」



必死に口を手で塞いで声を殺した。



「…勝手なこと言うけどよ……」




「……俺、Aが好きだ」




ついにボロ、と零れた涙。




「長いこと言ってやれなくて…悪かった」





「ずっと寂しい思いさせてきて悪かった」





「俺が不器用なせいでずっと泣かせてきた」





「だけど…今までも、これからも、お前のこと愛してるよ」




「……それだけは忘れないでくれ」




「もう、この関係はなかったことにしていいから。Aが決めていい。顔も見たくないなら、消えるから」




「…それでも、もし……俺のこと、許してくれるなら」









「土曜日、隣町の体育館に13時。試合で待ってる」









「…今までの時間、無駄じゃなかったって証明するから」





「…じゃあ、おやすみ」





都合のいいことばっか言ってさ。



ほんと不器用。



そんなこと言われて

捨てようにも捨てられないこの気持ちはどうしたらいいの？

中途半端な気持ちだけが宙ぶらりん。





どうしたら嫌いにならせてくれるの？

祭りの神→←聞いて欲しい。

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