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和side
軽く押された感じがしたけど…
押す力はかなり強めで…
不意を突かれてバランスを崩す
車道と歩道の境目には
運悪くガードレールがなくて
低めの縁石があるだけ
バランスを崩した俺の踵が縁石に引っ掛かって
俺の体は車道に倒れて行く
倒れながら見えたあの子の顔…
女「…バイバイ……和君……ﾌﾌ…」
ニタッて笑う口元だけがやけに鮮明で…
最後に言われた言葉
どっかの演歌歌手のフレーズみたいだったな
なんて…どうでもいい事が頭に浮かんだりして…
キキ〜ｯ！って車のブレーキ音
次の瞬間
体に衝撃を受ける
ドンッ！
あ……何かにぶつかった……
空が近くに感じる
ドサｯ！！
道路に叩きつけられた
痛いな〜
凄く痛いよ……
「和っ！」誰かに名前を呼ばれた気がしたけど
俺の意識はそこで途絶えた
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
村上side
村「和っ！和っ！」
いくら和を呼んでも反応がなくて
ヤバイって直感…
和を突き飛ばした女は
ｸｯｸｯて不気味に笑ってる
和を跳ねてしまったおばさんは
お「どうしましょ……大変な事になったわ……き、救急車……そう……救急車呼ばなきゃ……警察…警察に連絡しないと…」
凄く動揺して震える指で、両方に連絡してくれてて
俺が今しなきゃいけない事…
この女を捕まえておくこと…
村「悪い！そこの女捕まえて！あと、誰か学校に戻って先生に事故の事伝えて来て！」
「わかった！」
近くにいた男子生徒数人が女を取り囲んで確保
女子生徒数人が学校に向かってくれた
倒れてる和を見れば
腕が…あらぬ方向に曲がってて
骨が飛び出してる…
頭からは出血も見られてて
もしかしたダメかもしれない…
さっきまで笑ってたんだ…
和『ヒナなら大丈夫だよ♪』
和の笑顔が蘇って……切なくなる
村「和っ！和っ！…和……和〜！！」
ポロポロポロポロ涙が流れて
俺の叫び声だけが響く
暫くすると救急車とパトカー、鑑識の車が到着
連絡を受けた先生が飛んで来て
先「確かにうちの生徒です…」
学生証を警察官に見せ、身元と連絡先を確認してる
俺を含め数人の生徒が事情を聞かれた
全員があの子が和を突き飛ばしたって証言してくれて
あの女はパトカーに乗せられ
警察署に連れて行かれた
車を運転していた人も…気の毒
ただ普通に運転してただけなのに
巻き込まれちゃってさ…
和だって…申し訳なく思ってるよね…
だって…和って優しいヤツだから…
走り去る救急車を見送る
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作者名：arashiwistomo | 作成日時：2019年3月3日 23時
