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涼side
診療所でカウンセリングをしてると…
悩み事があればいつでもおいでって…
そう言い残し
彼は海岸沿いに歩いて行った
俺が此処に来る理由を一瞬で見破られたようで…
彼の姿が消えた方を見つめる
暫く立ち尽くしていた俺…
何かに吸い寄せられるように彼の姿が消えた道を辿る
少し歩くと小ぢんまりとした可愛い建物
涼「ひまわりメンタルクリニック…」
☆〜☆〜☆〜☆〜☆
和side
海岸沿いを歩く
ふと海を見れば
和「…あ……」
あの子の姿…
俺の横を元気な子供達が駆けていく
その声に振り向いた彼と目が合う
会釈をすれば頭を下げて返してくれた
今日は少し話しかけてみようか…
海岸沿いから砂浜に下りる
ゆっくりと彼の隣に立つ
和「こんにちは♪」
挨拶をすれば消え入りそうな声で挨拶を返してくれた(笑)
和「たまに居るよね？海好きなの？」
涼「…ﾊｲ…」
和「制服ってことは、この近くの学生かな？」
涼「…ﾊｲ…」
この子は海を見る事で嫌な事を忘れに来てるのかな？
海が好きと言うわりに…浮かない表情が気になった…
俺は海を見つめ
幼い頃を思い出す
父親に海の中置き去りにされた日
びしょ濡れで交番に助けを求めた
帰ればまた…叩かれ…火を押し付けられる日々
和「海…俺は嫌いだった…」
涼「…えっ…？」
俺の言葉に心底驚いた顔をした彼
その表情が何とも言えなくて思わず笑みがもれる
和「…ﾌﾌｯ♪でも、今は好きだよ…悩み事とか嫌な事全部流してくれるようで…そう思わせてくれる人達に出逢わせてくれた場所だから…うん。今は好き」
『…今は…』
水平線を見つめる
生きる事を放棄しようとした俺…
そんな俺に
『生きる事を諦めるな！』
『絶対に守るから！』
『一緒に生きて行こう！！』
『皆で…幸せになろう…』
そう言ってくれた人達…
そんな人達と…１度は家族になれた事…
家族の温かさを知れた事…
その中の一人が
今でも俺の隣に居てくれてる
海は…
俺にとって
辛く悲しい場所から
素敵な絆をくれた場所に変わった
もしも今
この子が何かに悩んでいるなら
今の俺なら相談くらいにはのれる
その為にカウンセリングの道を目指したんだから
和「俺ね…この海岸沿いを少し行った所に診療所があるんだけど…そこでカウンセリングしてるんだ。だから悩み事とかあったらいつでもおいで♪」
なんだか涼介君と彼が重なって…
それだけ伝え俺は彼と別れた
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作者名：arashiwistomo | 作成日時：2020年6月14日 22時
