四十一躍 最も神威らしい単純な考えは聞いて呆れる ページ40
「悪ィ。今日俺寄るとこあるから」
昇降口で靴を履き替えながら沖田は軽く手を上げ先に帰る事を神威達に告げる。
「うん、いいケド」
「じゃあな」
沖田は靴を履き替えるとすぐに学校を後にした。神威達から見ると何処か急いでいるように感じられた。
「最近多いね、総悟がああやって一人で先に帰るの」
校門をくぐり、左の道を差し掛かったところで神威は唐突に彼の話題を出した。左の道を曲がると丁度下りの住宅地が広がっており、一気に歩道が狭くなっていく。
神威の話題に答えるように口を開いたのは信女だった。彼女は彼の斜め後ろを付いていきながら逆に聞き返す形で口を開く。
「神威、聞いてないの?アイツのお姉さん、ミツバさんのお見舞い行ってるの」
「ミツバ?……ああ、聞いたことはあるかも。でも俺実際会ったことないんだ。だってあの人ずっとなんかの病気で休学してたんでしょ?」
「今もね。…でも、最近病状が悪化して一人で歩き回れないくらい弱ってしまったって。大丈夫かしらミツバさん…」
信女はいつになく眉間を歪ませて思い悩んでるようだった。無表情な信女がこんな顔をする程病状は酷いものなのだろうか。
そして神威は「そうだ!」とある事を思い付いたらしく、突然歩いていた足を止め満面の笑みで彼女の方へ振り返った。彼のその表情から見て余程いい事を閃いたのだろうか、信女は興味深そうに彼の言葉を待つ。
「信女!今から俺達もお見舞い行かない?」
しかし返ってきた言葉は彼女をガックリと項垂れさせるものであり、最も神威らしい単純な考えだと思わせるものだった。
「……………は?」
****
沖田はほぼ病院の廊下を走りながら目的の病室へと急ぐ。息が妙に上がってきたが今はそんなこと気にしていられない。
もし自分の知らないところで彼女に何かあったらと思うと不安がいっぱいで堪らなくなる。だから早く無事あの笑顔を間近で見せて欲しかった。
階段を駆け上がり、やっと目的の病室が見えてきた。病室前のドアをガララッ勢いよく開けて彼女の名を呼ぶ。
「姉上…!」
「総、ちゃん……?」
其処には現在も休学中で沖田の姉・ミツバがベッドで頭だけこちらに向けていた。だがもう一人別の人物もミツバが寝ているベッドの隣に腰を下ろしていた。
沖田はその人物の姿を認めると一気に鋭い表情になった。
「…何でアンタが先にココにいるんですかィ、土方さん」
沖田は睨みを効かせたままそう低い声で彼に問いかけた。
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白玉(プロフ) - 面白すぎる..さすがプリン!!ww (2017年10月1日 8時) (レス) id: d7b0293ef7 (このIDを非表示/違反報告)
プリンちゃま(別垢)(プロフ) - みかんさん» みかんさん、ありがとうございます!『面白い』と評価して下さってマジで嬉しいです!!これからも応援ヨロシクお願いします★ (2017年4月8日 20時) (レス) id: 5afe51ca08 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - とっても面白かったです!沖田と神楽の所が特に面白いです!これからも更新頑張ってください!応援しています! (2017年4月8日 19時) (レス) id: 7cb491045b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:交差点プリン | 作成日時:2017年3月31日 18時