三十八躍 忘れられたレモンジュースを踏んづけてやる最初の茶番 ページ37
そして何やかんやあり、現在高杉から全てを聞き終えたまた子は飲んでいたレモンジュースをガコンッと落としてしまった。
「わわわっ！すみませんッス‼」
慌てて布巾でテーブルを拭くも、彼女は先程聞いたばかりの話に頭を抱えたくなったのだ。
「つ、つまり私は…勝手に自分のせいで晋助様が消えたと思い込んで、その思い込みを無理矢理現実にしようとして、そしてそれををずっとこの数日間勝手に悩んでただけって事ッスか…！？」
「そうなるな」
高杉の平然とした口調を真正面から受けたまた子はガハッと床に倒れ伏した。倒れたところはレモンジュースでシミになったところだが、今の彼女にとってはどうでも良かった。
「そんな平然と言わないで下さいよ！晋助様、酷いッス！！」
「酷いのは元々だ、バカ」
「バカって言った方がバカ！」
「いや、お前だ」
「あんたッス！！」
不毛なやり取りに二人は思わず顔を見合わせて笑った。
以前の二人ならこんなやり取りはしていないだろう。いや、したくてもできなかった。お互いに壁を隔てそれ以上歩み寄ろうとしていなかったから。
だが、今日やっと本音で話し合えた。二年もの間伝えられなかった事、できなかった事が今何でもできる。これほど嬉しい事はないとまた子は心からそう思った。高杉も同様に二人の間の壁がようやくなくなった事に心地よい気分だった。こうして他愛なく話せる事が嬉しかった。
「晋助様、ありがとうございます…」
「急に何だよ」
「いえ、貴方のおかげでようやくこうして自然と私らしく話せるようになって嬉しいんス。だから、私…、絶対明日学校に行きます！！」
「…待ってる」
高杉はポソッと呟くように云った。だが、彼女には聞こえなかったらしい。
「え？」
「なんでもねェよ」
「え〜、言って下さいよ！絶対なんか大事な事聞き逃した気がするッス！」
「…なんでもねェって言ってんだろ。俺は二度は言わねェ主義だ」
「そんな理屈通らないッス！」
彼なりの照れ隠しなのだろう、高杉はまた子から顔を逸らしそっぽを向いた。でも、また子は照れ隠しとは気づかず彼に目線に入ろうとする。
「目ェ合わせて下さいッス晋助様！」
「うるせェ、何で諦めねェんだよ」
高杉は呆れながらも目線で逃げ回る。また子は顔で追いかける。目を瞑ればいいのに……←
＊＊＊＊
「そう言えば、よく考えたら明日入学式だな」
「え！？早くないですか！？」
「銀魂高校が遅すぎるんだよ」
三十九躍 少し変わったサド野郎達、変わらないサド野郎達→←三十七躍 温かな雨は降ってもいいんだ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 20人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白玉(プロフ) - 面白すぎる..さすがプリン!!ww (2017年10月1日 8時) (
レス) id: d7b0293ef7 (このIDを非表示/違反報告)
プリンちゃま(別垢)(プロフ) - みかんさん» みかんさん、ありがとうございます！『面白い』と評価して下さってマジで嬉しいです！！これからも応援ヨロシクお願いします★ (2017年4月8日 20時) (レス) id: 5afe51ca08 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - とっても面白かったです！沖田と神楽の所が特に面白いです！これからも更新頑張ってください！応援しています！ (2017年4月8日 19時) (レス) id: 7cb491045b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：交差点プリン | 作成日時：2017年3月31日 18時
