三十一躍 馬鹿と馬鹿力はたまにはuseful ページ30
そして二時限目、入学式の準備が学校全体で本格的に行われた。
月詠は3Zのクラスの手伝いを担われ、銀八と共に役割分担を確認していた。
「じゃあ月詠は体育館のステージに飾る校長の"邪魔な"壺を運ぶグループの担当をしてくれ。ホントはこんなグループ要らねェんだけどよ」
「仕方ないじゃろう、あやつは腐っても校長じゃ。校長の願いには下の者の願いとも云うだろう?」
「何その古臭い考え方」
銀八と別れた後、月詠はもう一度役割分担された紙に目を落とす。
しかし、月詠が担当するこのグループは単に"邪魔な"壺を運ぶだけが仕事なので、メンバーはただ「力が強い男子3、4人」と書かれているのみであった。
「えらく抽象的に書かれとるな。つまり『もうどうでもいいから適当に力強そうな男子選べ』と言われてるようなものか」
月詠は3Zの教室を見渡した。見た目からして屁怒絽や近藤などが良いのだが、彼らは生真面目過ぎでもあり、ドジでもある。もし誤って壺を割るようなことがあれば、あのバカ皇子の校長は黙っていないだろう。ならば、あまりドジをせず力が強く神経も良い者を選ぶ他ない。
だが、3Zは問題児の溜まり場。無駄に人数が多く、その者を捜すのは骨が折れる。しかも3、4人も。
月詠はこれ以上ないほどため息を吐いた。
その時、
「あり?月詠先生何してるの?」
前方から高さ3m、幅20cmの10本の鉄の塊を担いだ神威が顔をキョトンとさせながら近づいてきた。
その後方からも神威ほどではないものの、並みの高校生はとても持ち運ぶことなど不可能な数の鉄の塊を担いだ沖田が姿を見せた。
「なっ…!?主ら大丈夫なのか⁉そんな量の鉄の塊を一人で…」
「?全然平気だけど?」
「悪ィ先生。コイツ馬鹿と馬鹿力が混ざったような奴だから理解してやって下せィ」
ふと月詠は良いことを思いついたようにパッと顔を上げ、二人の顔を見た。月詠のそんな顔を擬視した二人は頭上にハテナを二つ浮かばせる。
「主らこの後で良いから手伝ってくれぬか?どうしても主らの人手が必要なんじゃ」
「手伝い?別に俺は良いケド」
「俺も構いやせんぜ」
二人のあっさりした承諾に月詠は安堵のため息をつきながら「ありがとう」と礼を述べた。だが、二人の仕事はほぼ重い物の運搬で結構人数もいるらしく、一人や二人抜けても問題ないらしかった。
「そういや晋助上手くやってるかな〜」
「何をだよ」
「…なぁ。主ら、高杉には今日会ったか?」
それは無意識に出てきた疑問だった。
三十二躍 ここ最近会う人と会わない人の違いって何だ→←三十躍 誤解が解けるとまた新たな疑問が湧くモンだ
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白玉(プロフ) - 面白すぎる..さすがプリン!!ww (2017年10月1日 8時) (レス) id: d7b0293ef7 (このIDを非表示/違反報告)
プリンちゃま(別垢)(プロフ) - みかんさん» みかんさん、ありがとうございます!『面白い』と評価して下さってマジで嬉しいです!!これからも応援ヨロシクお願いします★ (2017年4月8日 20時) (レス) id: 5afe51ca08 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - とっても面白かったです!沖田と神楽の所が特に面白いです!これからも更新頑張ってください!応援しています! (2017年4月8日 19時) (レス) id: 7cb491045b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:交差点プリン | 作成日時:2017年3月31日 18時