十三躍 去年の秋の話 5&神楽の決心 ページ13
追いかけようとする高杉の肩を素早く掴む沖田。そんな彼の表情は俯いてるせいか顔は見えないが、それがより見ている者の恐怖心を煽るものだった。
「…悪ィが高杉、やっぱあの野郎は俺に任せちゃくれねェか。…あの野郎だけは…、俺がシメねェと気が済まねェ」
黒いオーラを放ちながら男に殺気に似た感情をぶつける沖田に高杉はその行動における何かを理解したのか、ハァ…とため息をついた。
「…しょうがねェな、今回はお前ェに譲ってやるよ。精々ケガだけはして帰んじゃねェぞ」
「高杉」
「あ?」
沖田の横を素通りし去ろうとした高杉を沖田は振り返らず声をかける。
「…今の俺の面(つら)、絶対アイツらには…、チャイナには喋んな」
「面だァ?ならいっそ今日の事自体水の泡にすればいいじゃねェか」
「そうすりゃ、サプライズだから後でバレるだろィ。それなら今の俺の面だけテメェが黙ってりゃいい話でィ」
「…クッ。テメェはつくづく勝手な野郎だな」
「…悪ィ」
「いや、そういう奴じゃなきゃテメェじゃねェよ。…シメろよ」
「分かってらァ」
そして今度こそ高杉は彼の元を後にした。
****
「…俺が知ってるのはここまでだ」
「……てか晋助。『これだけは教えといてやる』って言ってたのに結局全部喋ってんじゃん」
彼が話し終わったのを確認し神威は笑顔のままツッコむ。
「…何言ってんだ。どっちにしろ全部喋んねェとあの野郎素直にならねェだろ」
「まあそうね」
「だね〜」
「そうっスね」
「??」
神楽以外の全員が彼に言葉に顔を縦に振る。一方彼女は何の事だか分からずハテナ。
すると、高杉はフェンスから体重を離すと「後はテメェでやれ」とだけ言い残しどこかへ行ってしまった。また子は今度はついていかずココに座ったままだ。
「アイツ、もしかして私とサドがケンカしてる事知ってたのカナ?」
神楽の独り言に近い呟きを聞いたまた子は流し目をしながら返す。
「…晋助様、ここに呼び出された時『どうせアイツらの誰かがケンカでもしたんだろ』って言ってたっス」
「うわぁ…、晋助恐るべし」
また子の言葉に能天気に笑う神威。その隣で黙っていた信女は神楽に気持ちを試すかのように問いかけた。
「神楽、この話聞いてもまだ総悟とケンカしたままでいたい?」
「…そんな事ないアル。アイツ怒らせる事怖いのも分かったけど。…何よりアイツの気持ち直接聞きたくなったネ」
神楽の固い決心に信女は『頑張れ』と心の内で応援した。
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白玉(プロフ) - 面白すぎる..さすがプリン!!ww (2017年10月1日 8時) (レス) id: d7b0293ef7 (このIDを非表示/違反報告)
プリンちゃま(別垢)(プロフ) - みかんさん» みかんさん、ありがとうございます!『面白い』と評価して下さってマジで嬉しいです!!これからも応援ヨロシクお願いします★ (2017年4月8日 20時) (レス) id: 5afe51ca08 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - とっても面白かったです!沖田と神楽の所が特に面白いです!これからも更新頑張ってください!応援しています! (2017年4月8日 19時) (レス) id: 7cb491045b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:交差点プリン | 作成日時:2017年3月31日 18時