紅蓮飛行・ARS【３】 (ページ7)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:26,634 hit

８７ページ7

目は新聞の文字を追っている。
けれど、意識はソファーに座っている翔さんと
テーブルのおつまみに向いてしまう。

「いただきます。」

箸の動く音がする。
「うっ・・・・」

うっ？
うっって、うめき声？

気になってしまい、少しずつ翔さんの方に視線を移すと、
お酒を楽しんでいる姿が見えた。

おつまみもすすんでるみたいだし、嫌いな味ではないようだ。

「なぁ」

『はい？』

「Aさん。新聞の一面ってどっちかわかってる？」
『こっちですよね。』

見ている面を閉じて裏向けて指をさす。

「わかってんだな。テレビ欄から見てるからてっきり一面わかってないんじゃないかと思った。」

呆れるように私の手元を見ている。
失礼な。たしかに、テレビ欄から見るけど、１面からなんて難しいから苦手だけど。
わざわざ言わなくても。

「仕事にも使えるから、ちゃんと目を通した方がいい。」

『はい。』と言いつつ少し頬が膨らんでしまう。

仕方がないので、一面から読みはじめると
フッと微かに声が聞こえた。

少し悔しいけれど、そのまま読んでいると、翔さんが思い出したように声をかけてきた。

「そういえば、ニノがAさんとやりたいことがあるらしい。」

『なんですか？』

「さぁ。ニノに直接聞いたらいい。待ち合わせ場所にニノが迎えに来るらしいから。」

その後翔さんに教わった待ち合わせ場所は
和くんの用心深さが表れたものだった。