第二話 依頼人 ページ3
武装探偵社____。
主に斬った張ったの荒事を領分にする軍や警察に頼れない危険な依頼を取り扱う探偵社の事だ。
昼の世界と夜の世界、その間を取り仕切る薄暮の武装集団で社長の福沢をはじめとする異能力達が日々動き回っている。
そんな武装探偵社の新入りである中島敦と泉鏡花は依頼を解決したその帰りにとある女性を見つけた。
メモ用紙を頼りに何かを探している様子のその女性は困った顔をして眉を下げている。
遠くからでもはっきりと見える綺麗な赤髪。
その髪を際立たせるこれまた美しい容姿。
左右の瞳の色が違うのは気の所為では無い。
女性の表情や行動を見る限りどうやらこの辺に住んでいる人ではないようだ。
「敦・・・」
鏡花は敦を見上げ言葉を発する。
「話を訊きに行こうか」
へにゃりと柔らかな笑みを浮かべ敦は云った。
鏡花はどこか安心したように口元を綻ばせる。
「あの、如何かしましたか?」
少しの間の後に女性は『嗚呼、』と声を洩らした。
『すみません
如何やら道に迷ってしまったようで・・・』
申し訳なさそうに女性は笑った。
真っ白なシャツの上に羽織る桜色のカーディガンから何かの花の匂いが漂ってくる。
何の匂いだったかという考えは頭の片隅に置いておいて敦は女性を安心させるために笑みを浮かべた。
「何処へ行きたいんですか」
『此処です』
女性の指に摘まれたメモ用紙には「武装探偵社」の文字。
敦は思わず「え!?」という声を洩らした。
『あの、如何かしましたか?』
思わず顔を見合わせる敦と鏡花に女性は首を傾げた。
「もしかして、武装探偵社にご依頼ですか?」
敦の言葉の意味を理解したのか『もしかして、』と女性は呟く。
『武装探偵社の方ですか?』
.
.
.
「どうぞ、お茶です」
ナオミが赤髪の女性の前にお茶を置く。
『ありがとうございます』丁寧に頭を下げた女性にナオミは「いえ」と笑みを浮かべ去って行った。
女性は辺りをきょろきょろと見渡している、慣れない場所のためか少し緊張しているようだ。
「それで、依頼と言うのは・・・?」
敦と鏡花の先輩である国木田は訊いた。
仕切りのパーテーションの影から谷崎と賢治が覗いているのが見える。
ぴょこりぴょこりと女性が身じろぎする度に赤毛が揺れる。
『依頼と云うのは探し人の事でして、』
蒼い瞳を細め彼女は口を開いた。
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RAIN@元アラジンlove(プロフ) - ジュリさん» コメントありがとうございます。なかなか浮上できませんがこれからもよろしくお願いします。 (2017年11月5日 16時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
ジュリ - 作者さんのペースでいいですから、更新がんばってください! (2017年11月5日 12時) (レス) id: 84c51744c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RAIN@元アラジンlove | 作成日時:2017年9月23日 20時