第八話 闇 ページ9
保護されてから4年。
彼女の健康な右目はじわじわと色を変えていき、淡い水色から深い海の様な蒼へと瞳の色は変わった。
どんなに調べても右目に支障は無く、色の変わらない左目だけが機能しなくなっていた。
彼女にも全く原因は分からない。
只、兄と同じ瞳の色だという事だけだ。
『私は此の瞳の色、気に入っているし・・・
それに此の色は兄様と同じ青色・・・
理由が如何であれ、私はとても嬉しいわ』
ふわりと笑えば木崎は「千代がそう云う気持ちでいれば其れで善い」と少しだけ口を綻ばせた。
『あれ、木崎君が笑うなんて珍しい』
「オレだって人間だ
笑う時は確り笑う」
木崎の言葉に『其れはそうね』と頷き最後の一口を口に入れた。
食べ終わった皿とスプーンを流しに一旦置き、蛇口を捻る。
温かい水が流れてくるのを確認すると千代はスポンジを泡立て皿とスプーンを洗った。
ケチャップやその他諸々の汚れが洗い落とされていく。
泡を確りと洗い流し、タオルで水分を拭うと食器棚に綺麗に収納した。
『
お借りしても宜しいでしょうか?』
カーディガンの衣嚢からトリガーを取り出し片手で握る。
カシャンという軽くも重くもない音が鳴った。
木崎はその様子を見て一瞬の間の後に深くため息をついた。
「どうせ止めてもやるんだろう・・・
此の時間だ、オレが一勝負付き合う
今日は其れで終わりだ」
『ありがとう、木崎君』
.
.
.
真っ白な部屋。
無機質な作り。
『木崎君が相手に成って呉れるなんて___
ほんと久し振りね』
『トリガー
長い赤髪は黒いリボンで高い位置で結ばれ、千代は太腿に付いたベルトに固定された銃に手を添えた。
換装し終えた木崎は彼女の銃を見て尋ねた。
「何故お前は
ピイィィィと開始のアラートが鳴る。
千代は短く、そしてやや冷ややかな声で答えた。
『私が、兄が・・・____』
彼女の瞳は何処までも暗く濁っていた。
『最初に生きる為に持った武器が銃だったから−−
−−−』
.
.
.
"勝者 木崎レイジ"
そう機械の声が告げる。
千代の身体のあちこちからトリオンが漏れ出てキラキラと輝いていた。
『ありがとう____』
千代はそう呟き、トリガーを解除した。
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RAIN@元アラジンlove(プロフ) - ジュリさん» コメントありがとうございます。なかなか浮上できませんがこれからもよろしくお願いします。 (2017年11月5日 16時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
ジュリ - 作者さんのペースでいいですから、更新がんばってください! (2017年11月5日 12時) (レス) id: 84c51744c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RAIN@元アラジンlove | 作成日時:2017年9月23日 20時