第五十八話 失敗 ページ11
男たちだった物を淳は見下ろしやがて小さくため息を付く。
空を見上げ、今夜の月はストロベリームーンであった事を思い出した。
何か温かい物が頬を伝い淳は頬を拭う。
『・・・・・』
見てみればそれは血だった。男たちの返り血が頬に付いたのだろう。
自分の手の甲に広がるそれを淳は黙って見ていた。
「淳」
聞き慣れたテノール声。
振り返れば其処には織田がいた。
何時も通りの無表情な顔。
淳は『織田作さん・・・』小さな声で云った。
「今朝振りだな」
何故織田が此処にいるのか、淳は知らない。
だが彼の顔が少し薄汚れているのを見るときっと仕事帰りなのだろう。
『織田作さん・・・』
淳は表情を少しも変えないまま織田作に擦り寄った。
『織田作さん』
トクントクンと彼の鼓動が聞こえる。
嗚呼、彼は生きている。
只それだけを確かめたくて、淳は『済みません』と謝った。
死/と隣り合わせの場所で生きていると如何しても自分が今生きているのか不安になってくる。
若しかしたら自分は今死/にかけていて、これは夢なのじゃないのかと。
只々不安気に自分を見つめる淳を見て、織田はその背中に腕を廻した。
ぽんぽんと軽く背をあやす様に叩いてやれば淳は目を細めウットリとした目をしていた。
『織田作さん』
淳は少し掠れた声で云う。
『こんな時に変かもしれませんが・・・
私は貴方が大好きなんです』
今日の彼の下衆男が近付いてきた時、どんなに織田なら良いだろうと思ったか。
織田以外に触れられたくなかった。
厭だったのだ。
きゅっと織田のストライプのシャツを握り乍ら淳は云う。
織田は「淳」と名を呼んだ後、自らの腕を元に戻した。
淳は少し哀しそうな目で此方を見る。
「・・・ お前の期待には応えられない・・・」
目の前の彼女は目を微かに見開いた。
ヒュッと息を呑む音が聞こえる。
『・・・何故？』
震える声、悲哀に満ちた表情。
「お前はまだ子供だ やっと１７になっただろう？
世間で云うならお前は未成年 更には本当なら学生
と云う身だ」
『違う・・・』
「違くない」
淳は半ば叫ぶ様にして織田に云った。
『私は立派なマフィアで人/殺しだ！
他の人間とは違う！』
『私は・・・もうとっくに大人です・・・』
"だから・・・・・ 、如何か私の気持ちを受け止めて"
.
.
.
「無理だ」
私の中の何かが音を立て崩れ落ちた気がした。
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RAIN@元アラジンlove(プロフ) - 無断転載禁止さん» いえいえ、大丈夫ですよ。 (2018年5月11日 21時) (
レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
無断転載禁止 - 私の勘違いでご迷惑をお掛けしましたすいません (2018年5月1日 7時) (レス) id: ad49824d41 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - 無断転載禁止さん» アイビスペイントにて描きましたので一応証拠として写真を一時的にあげておきますね。 (2018年4月22日 10時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - 無断転載禁止さん» 本垢なら「とっちー」という名前のはずですが・・・。 (2018年4月22日 9時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - 無断転載禁止さん» それは私です。本垢か文スト垢かどちらのイラストを見たのかは分かりませんが「雨雫」という名前ですよね？ (2018年4月22日 9時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨雫 | 作成日時：2017年4月11日 15時
